父系の遺伝、母系の遺伝

父に似ているとか、母に似ているとか人は言うけど、父母どちらからもDNAをもらっているから、当たり前のことであります。

面白いのは代々延々と受け継がれる父系の遺伝と母系の遺伝があるということです。
Y染色体は父系に代々世々に受け継がれます。男子は必ず父のY遺伝子を引き継ぎます。その父も祖父の遺伝子を、その祖父もまた父の曽祖父のY遺伝子を受け継いでいるのです。

つまり性染色体のY遺伝子はずーっとずーっと引き継がれているのです。曽祖父やそれ以前に10代遡っても100代遡っても、Y遺伝子は変わらず引き継がれて来ているのです。

22種類の対の常染色体と性染色体がありますが、そのうちY染色体があれば男性になります。Y染色体には、常染色体やX染色体のようにペアとなる相同の染色体はありません。

では、性染色体がXXとなりY遺伝子を持たない女性には、代々変わらず引き継がれるものは無いのでしょうか? 否、実は細胞内にあるミトコンドリアは娘にそっくりそのまま受け継がれ、代々変わらず引き継がれてい来ているのです。

女の子は母親のミトコンドリアを完全に引き継いでいます。父方からミトコンドリアを引き継ぎません。これをミトコンドリアの母性遺伝といいます。

ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーの合成に係わっている重要な物質です。ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを生み出す、生命の役割をしています。

父系にはY遺伝子が連綿と受け継がれ、母系にはミトコンドリアが連綿と受け継がれているのですから、男系も女系も同様にクローン的に引き継ぐ遺伝があると云う面白い話であります。

天皇家は男子に限ると、女系天皇を問題にする人がいますが如何なものかと思うのです。
元々、日本は推古天皇以降、十代八人の女性天皇がいたのですから、今更に女系天皇がどうこう云うのは、昭和の軍部じゃあるまし時代錯誤も甚だしい。後世の笑いの種になりますね。

少し話が脱線しました。ともあれゲノムやDNA以外にも代々世々に繋がって来た、父系母系の遺伝があるということを知って面白いと思った。

男の子やそのまた息子へはY染色体のコピーが受け継がれ、女の子やそのまた娘へはミトコンドリアのコピーがそっくり受け継がれます。それがどういった意味なのか分かりませんが、何か命の系図に意味をもたせてくれるように感じてしまいます。

Y染色体もミトコンドリアも、その機能が全て解明された訳ではありません。これから解かることの方が多いことでしょう。
これからはゲノムの時代。新たにどんな事が解るか楽しみです。