七つのコラボ

Kenneth Davids
Kenneth Davids

有名なコーヒー評論家(USA)である“Kenneth Davids”が、彼の Web site “コーヒー REVIEW”で、コーヒーの格付けに関する注意事項として、こんなことを書いてました。 コーヒーを飲むまでに、少なくとも七つの重大な工程(seven momentous processes)がある。ワイン(瓶詰)やビール(樽詰)や葉巻(箱詰)などは、 そのまま口に入る製品だけど、 コーヒーは違います。 七つの重大な工程を経てやっと口に入る訳で、七つの工程のコラボだと言ってます。 それも世界の2~4ヶ所の見知らぬ人たちが、勝手に七つの工程に係わっているもんだから、ワインより比較にならないほど格付けが困難なんだそうです。

  1. 栽培と収穫(grows and picks)
  2. 種子と乾燥(seeds, then dry)
  3. 輸出者とブレンド(exporter may blend beans)
  4. 輸入者と保管(importer spares)
  5. 焙煎とブレンド(roaster also may blend beans)
  6. 小売と鮮度(retailer handling before it gets stale)
  7. 挽き方と淹れ方(grinding, and finally beverage)

コーヒーの七不思議と言ったところでしょうか?

コーヒーの簡単な品種 (Arabica Coffee Family)

Arabica Coffee Family Tree
(クリックで拡大できます)

コーヒーには、四倍体(n=44)で自家受粉のアラビカ、二倍体で自家不稔のロブスタがあります。もう一つリベリカもありますが割愛しましょう。最近のゲノム解読でアラビカ種の生い立ちが判ってきました。リベリカ種よりユーゲニオイデス種 Coffea eugenioides の方がアラビカ種の近縁にあたるそうです。

アラビカは自家受粉なので、なかなか自然交配しないようで、つまり純血が守られてきた品種なんですね。 アラビカの品種は細かく見れば、色々有るんでしょうが、おおまかに覚えておけばいいと思います。

Tipica;ティピカ、Bourbon;ブルボン、そして Hybrido;ハイブリッドです。簡単ですね。

何と言っても元祖は、Tipicaティピカであります。
Jamaica Blue Mountainに代表される品種で、例のガブリエル・マチュー・ドゥ・クリューがマルティニークに1723年移植した木を祖先とすると言われている古い品種です。

次は、インド洋上のブルボン島(現 Reunion島)で発見されたBourbonブルボンです。フランス東インド会社デュフレーヌ・ダサール船長が、ブルボン島へ移植(1715年)したモカ又はティピカの突然変異種だと言われています。

「なんか、コーヒーの品種って”いわくつき””って感じがしますね」そうなんです。この業界では”いわくつき”にするのが好きなんですね。

知られざるブラジルのHybridoハイブリッド品種。ブラジルだけじゃないのですが、品種改良されたCatuaiカトゥアイ、Mundo Novoムンドノーボ、CaturraカトゥーラなどがHybridoです。
特にブラジルでは、多収穫でサビ病に強く生産性重視の品種が広く栽培されてきました。最近では機械導入が容易な矮性品種へと移り、大量生産の王国ブラジルとなったのであります。
でも、その風味は、繊細さと華やかさに劣ると思うのはモリパパだけでしょうか?

  • Tipica;ティピカ
  • Bourbon;ブルボン
  • Catuai;カトゥアイ;ムンドノーボとカトゥーラの交配種。
  • Mundo Novo;ムンドノーボ;SumatraとRed Bourbonの自然交配種、Mundo Novo市で発見。
  • Caturra;カトゥーラ;1915年頃ブラジルの ミナスジェライス州で発見。
  • Maragogipe;マラゴジッペ;ティピカの突然変異種。巨大豆で生産性重視した品種。
  • Geisha ゲイシャ;最近パナマのゲイシャが大人気(芸者とは全く関係ない)。
  • Sumatora スマトラ;オランダ東インド会社からの伝統的な品種。
  • Kona コナ;これもティピカなんだけど何故か品種コナ。

各国の農業担当役所(研究所)は、こぞって作りやすく収量の多い品種を推奨・普及してきてました。
だから、在来種からハイブリッド種へ植え替えられてしまい、残念なことにコーヒーは美味しさではなく、増収、機械化、耐病性など作りやすさを重視した結果のようです。ワタルのモカクラブで、在来種とハイブリッド種を対比して書いてあったので、ご紹介しておきましょう。

  在来種 ハイブリッド種
香り 甘い香りがあり、香りの量も多い。 香りにロブスタ種の臭いが混入しているものがあり、香りの量も少なくなる。
酸味 一般的に強くなる傾向にあるが、甘味との相乗効果により、甘酸っぱい味を構成する 一般的に薄くなる傾向にあるが、濁った様な酸味(醗酵したものとは違う)が出やすい。
味、コク 特にBOURBONは、コクに優れており、TIPICAは、柔らかな中にコクを持った傾向にある。 味はフラットになり、薄くなる。雑味などが混じり濃く感じる場合もある。(雑味はコクと評価しない。)
その他 粒自身に光沢があるものが多く、ロースト後のアピアランスはきれいである。 ローストすると大きく膨れるものが多く、見栄えはする。しかし火力が強くなれが、芯から焦げてしまう。

だからという訳じゃないけど、モリパパはどうもブラジル(ハイブリッド種)が嫌いで、はなからブラジルを避けて飲んでます。

そもそも、焙煎屋さんで売る「○×ブレンド」というものは、必ずブラジルが入っています。否、ブラジルを混ぜて増量して原価を安くしていると思っているんです。
いいブレンドというのもあるようですが、“味を損ねないようにブラジルでどうやって増量できたか” と思ってるんです。

ワインだってネゴシアンでブレンドしますが、そのままではどうか?と思うワインを、ブレンドでごまかして味を調えているんです。良いワインは絶対にブレンドしません。

日本で売られているコーヒーは、モカ(港名),サントス(港名),コロンビア(国名), ブルーマウンテン(ブランド名),ハワイコナ(地域名),キリマンジェロ(山麓名)、 などなど品種に関係ない名前で売られているから無茶苦茶な感じがします。
コーヒーの品種は、ワインほどはっきりしたもんじゃないということで、理解した方が良いですね。

コーヒーは、お国で選ぶ

ワインは先ず品種で選ぶのですが、コーヒーは品種じゃなくて生産国で選んだ方が良いようです。
「でも、生産国が多くて、覚えきれたものじゃないよ」しかし、一つ一つ国の事情を知っていくことは楽しいですよ。 見知らぬ国を理解しようとするのもコーヒーの楽しみ方ですから…
「行ったことも見たこともない国のことを、イチイチ調べたり覚えたりするのは大変でしょ?」 そうなんです。
コーヒーを楽しむ極意は、生産国に思いを巡らすことでもあるとモリパパは思っています。 それが、Speciality, Sustainable, Faire_Trade, Rainforest, Organic につながることだと思っているんです。 「えらい!」 では、次頁を見て下さい。