包括的核実験禁止条約(CTBT)

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包括的核実験禁止条約 CTBT (Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty)について、知っているようで知らなかった。
核兵器廃絶が最も大切であることは誰でも分かっています。
ではどのように核兵器廃絶を推めるのか? その方途の一つが、今から20年前(1996年9月)、国連総会において採択された CTBT なのです。

核兵器不拡散条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons : NPT)については、5年に1度運用状況を検討するため再検討会議が開かれるていますが、2015年のNPT再検討会議が決裂 核軍縮文書採択できず(2015年5月22日)、停滞しています。

出典:2015年10月28日付け 公明新聞より

一方、CTBTは核兵器廃絶の前に核実験を制限しようと取組んでるものです。
これまでに、核実験は2000回を超えてしまいました。
なんのための実験だったのか?
既に備蓄している核兵器の各種部品の耐久性を確認するためだったり、老朽化した核兵器を改良するのが目的です。従って、核実験を禁止することは、核兵器の量の拡大、質的改良を食い止めることができるのです。

CTBTに署名した国は183、批准した国は163です。全ての国が署名.批准しないと、CTBTは効力がありません。とりわけ核兵器を作る技術保有国が批准しなければ効果がありません。
未批准国が以下の8カ国で、ここに米国と中国が入っているのであります。

  • 署名済・未批准国(5か国):米国中国、エジプト、イラン、イスラエル
  • 未署名・未批准国(3か国):北朝鮮、インド、パキスタン

包括的核実験禁止機構(CTBTO)というのがウィーンにあって、核爆発実験を国際的に監視するため、国際監視制度(International Monitoring System:IMS)を整備しているのだそうです。

出典:CPDNP 日本国際問題研究所

IMSでは世界中の地震、放射性核種、水中音波、微気圧振動を常時監視し、いかなる地域で行われる1kTon以上の核爆発実験も見逃しません。因みに広島の原爆は20kTonです。
日本にも337ヶ所の施設があって、この内10ヶ所からはウィーンにあるCTBTOのデータセンターにデータ転送されているそうです。

このような観測網は本来の役割に加えて、災害の状況や気象変動の影響もモニターできる、”地球の聴診器”としての重要な役割を果たしているそうです。

核問題解決への取り組みを加速させ、軍縮の促進はもとより、CTBTの採択を土台に生まれたこの活動のような「世界の人道化」に向けた潮流を、本格的に強めていくべきではないでしょうか(第41回「SGIの日」記念提言「万人の尊厳 平和の大道」より引用)

核爆弾が着弾すると、その都市は一瞬にして壊滅的な打撃を受けるだけでなく、一部は半永久的に焦土のままになります。被爆した人々は後遺症に苦しみ、多くの子供たちが癌で亡くなります。更に遺伝による奇形は多発し、この被害は広範囲に及びます。
また、大火災で地球の温度が下がり、地球の気候は激変して、全世界が食糧危機に見舞われ10億人以上が飢餓となり、伝染病と紛争が各地で起こります。

今や無邪気に「核抑止力」を信じている権力者はいません。核は「使うことのできない兵器」として、誰もが認めるところです。
なのに、核爆弾は未だ1万7千発も地球上にあるのです。核廃絶、核実験反対と叫んでいるだけではいけないのです。

人権よりも国威を優先し、止むに止まれぬ場合には核の使用も辞さない一部勢力があることを覚えておかなくてはなりません。
核問題の解決は、核兵器保有の「奥に隠されているところの爪をもぎ取る」まで根気強く粘り強く核廃絶運動を続けなくてはならないのです。

軍事ほどデモクラシーと縁遠いものはありません。
「奥に隠されているところの爪をもぎ取る」まで、軍事の問題とりわけ核兵器の問題から目を背けてはいけません。
なぜなら、偶発的な事故による爆発や誤射の危険性と隣合わせで、私達は生活しているからです。

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