特会(特別会計)の歳出総額は403.6兆円(2015年予算)、会計間重複を除いた額でも195.1兆円。
一般会計が96.342兆円(過去最大)なので、ほぼ2倍以上のケタ違いの規模であります。
このうち大口のものを見ると、国債の償還や利子の支払いに必要な費用は90.4兆円、社会保障給付費が62.6兆円です。
注目したいのは、国債の償還や利子の支払いに必要な費用、つまり借金の利息だけで90.4兆円も払っているんです。
これは一般会計(96.342兆円)に匹敵する額なんです。
“借金できるのも財産の内”なんて呑気なこと言えません。
今や、国債だけでも780兆円、国・地方の長期債務残高は1090兆円。GDP比208%にもなるんです。日本政府(Goverment)は、借金で借金を返す多重債務状態に嵌り込んでいます。
実は、国債を発行すれば、売れるのは当り前ではないんです。
国債は戦後、長い間、原則発行禁止してきました。
また、この国債を日銀が引き受けることを厳重に禁止してきた時期がありました。
ところが、東京オリンピック後の不況に対応するため、禁断の掟を破って、S40(1965)年、初めて国債を発行してしまいました。
最も均衡財政主義者であった福田赳夫蔵相のときだったというから皮肉なことです。
その後、第一次オイルショックの後のS50(1975)年度予算から赤字国債発行が再開し、国債大量発行時代に突入してしまいました。
いまでは信じられないことですが、そのころは国債がさっぱり売れず、民間債の利回りを上回ってしまったそうです。
現在は、このような状態をなんとかしようと、目標を最低限プライマリー・バランスの均衡を達成することとしましたが、その目標さえ達成不可能になりました。
そして出てきたのが、異次元の金融緩和として黒田総裁がやった、日銀による国債の大量買いつけです。
このような大胆な金融政策をやったことのある国はありませんから、この先、何が起こるか誰にも予測できないのです。
日銀が保有する国債の量は、日銀券の発行残高を超えないという「日銀券ルール」がありました。しかしこれも無視されてしまいました。将に異次元の経済政策であります。
国債の発行は将来世代が納付する税金を先食いすることと等しい。別の見方をすれば、我々現在の世代が、タックス・イーターになっいるということでもあります。
特会の会計は正に伏魔殿です、
「由らしむべし、知らしむべからず。」
つまり「難しい内容は下々の者には知らせない方がいい」といった考え方があります。租税特別措置透明化法が2010年成立しても、未だに主税局の考え方は変わっていないと言われています。でも、私達は知る権利があり、意見を持ちたいと願っています。
そして、どうにもならない状況は、次々に明るみに出てきてしまいます。
アベノミクスの第1の矢は金融緩和、第2の矢は公共事業、そして第3の矢は成長戦略です。
円安は120円/$までになり、日銀の国債買付けでおカネ(マネタリー・ベース)はジャブジャブになり、株価は上がり資産インフレになりました。
ここまでは禁じ手を破ってでも、古典的な経済政策で押し切ってきました。
果たして、資産インフレという東京オリンピック景気がやってくる?ような気配を感じますが、とんでもない問題を抱えた、一時期の日和なんです。
志賀櫻 氏が、著書「タックス・イーター」の
あとがきでこんなことを言っています。
さる専門家が「今のような日本の財政や経済の状況だと、戦争を起こして解決するのが普通なのだがね」と話すのを聞いた。(中略)たしかに世界の歴史を顧みると、経済の苦境を脱するため、あるいは、国内の様々な矛盾を解消するため、為政者はしばしば戦争という手段を選んできた。
(中略)
客観的に見て、日本の置かれている今の状況は、それほどまでに深刻だということである。
(中略)
戦争に代わる別の手段を考えておく必要がでてくる。その一つとして挙がる候補が、ハイパーインフレーションである。
(中略)
もしも、万策尽き果て、そのような選択肢を取ったとき、政府をはじめ国家全体は巨大なタックスイーターに豹変するであろう。
つまり、政府(Goverment)は破綻し、国債をもっていた法人(Bank?)も破綻し、個人資産は消失してしまいます。そうして誰もが潰れるということですね。
1998年頃の日本発金融危機を想い起します。あの時、ある大手銀行が危ないと、走り回った経験があります。
現在の日本の財政はもっと深刻ですから、もっと凄まじいことになるでしょう。万策尽きた事態を回避することはできないでしょうか?