新自由主義(Neo-Liberalism)とグローバリズム(Globalism)

この記事は3年以上前の古い投稿記事です。

新自由主義についてチョット勉強してみた。グローバリズム(globalism)という言葉は、新自由主義(Neo-Liberalism)というイデオロギーを宣伝するために使われたものだそうです。
グローバル化(Globalization)とグロバリズム(Globalism)とはまったく違います。

Globalizationはアメリカの単独覇権(一極体制)が確立され、冷戦終結後の自由貿易圏の拡大や、企業の多国籍化を通して、更にはIT技術の進化によって金融界で推し進められました。

一方Globalismは、新自由主義に基づく自由化から始まったものです。新自由主義型 資本主義(=Americanism)を指すものだそうです。レーガン
RonaldReagan

新自由主義は、レーガン大統領(1981~1989年)が唱えたもので、以下のようなKeywordで、新自由主義とはどのようなものか見えてきます。

  • 市場万能主義:自由な金融市場
  • 小さな政府:フラット税制
  • 金融万能主義:マネタリズム
  • 規制緩和:自由貿易協定(FTA),環太平洋Partnership(TPP)
  • 自由市場:政府の介入制限
  • 福祉削減:福祉予算の縮小
  • 減税:富裕層減税
  • 株主優先:法人税優遇

レーガノミクスの新自由主義では、経済成長が必須であります。そして、経済成長によって富裕層に富が集まれば、トリクルダウン(TrikleDown=滴り落ちる)効果によって、下層にも経済効果が及ぶと言った規範でありました。

1989年11月10日ベルリンの壁は崩壊された
1989年11月10日ベルリンの壁は崩壊された

1989年ベルリンの壁が崩壊して、世界はポスト冷戦体制となり、アメリカ一極主義のGlobalismの時代となりました。

だが、その覇権国家アメリカの凋落が始まったのです。今年は大きな時代転換点にあるようです。
「経済力は軍事力による支えがなければ無力」(E.H.Carr)といいますが、今アメリカは「世界の警察官」の役割を捨て、アジアの成長とダイナミズムを睨みながら、オフショア・バランシングといった戦略に大きく舵を切りました。そして今年大統領選挙を迎えます。

こうした世界の大きな転換期に、日本は未だにアメリカに身を寄せるような政策をとっています。
アメリカ安全保障政策の傘は早晩無くなります。政治、貿易、安保も自ら考えることが求められます。

アメリカは新自由主義を、Globalismと称して世界標準にしようとしました。しかし、そうは行きませんでした。1997年のアジア通貨危機、2001年ITバブル崩壊、2008年リーマン・ショックと新自由主義の下では、経済危機が繰り返されました。

London School of Economics and Political Science, (LSE)
London School of Economics and Political Science, (LSE)

女王エリザベスⅡ世が、金融危機の最中にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを訪れた際「経済の専門家がなぜ危機を予測できなかったの?」と素朴な質問をしたことは、世界に広く伝えられた有名な話です。

映画 シャーリー&ヒンダの中で、アラナイのおばあちゃんが、素直に「経済成長ってなんでしょう」と問いかけても、誰も答えられないのです。

abeSinnzou

アベノミクスは「みずほの国の資本主義」を唱えデフレ脱却の戦略を宣言しましたが、その内容はレーガノミクスと同じ新自由主義の政策となってしまいました。

そして不味いことに、その方策を日銀の金融政策に委ねてしまいました。
今日の世界経済は、日本一人 独自の政策をもって進めることは到底できません。サウジの先読みで原油は大幅に下落し、中国はGDP失速で資本流出を防ぐため大胆な為替介入し、ドイツバンクの偶発転換社債(CoCo=ココ債)や欧州にくすぶる金融不安、ロシアではクリミア侵攻後のルーブル急落など、激動する世界経済は揺れに揺れています。

FINANCE & DEVELOPMENT, December 2014, Vol. 51, No. 4 (IMF)
FINANCE & DEVELOPMENT, December 2014, Vol. 51, No. 4 (IMF)

スローSlow トレードTradeとなった2009年以降、世界経済成長とGlobal Trade(貿易)は、構造的に変化してきているとIMFは分析しています。
世界は強大な覇権国家を失い、Globalismは失速して、低成長の時代へと突入したようです。

日本は1997以降GDPの成長は停まり、失われた10年が、20年となり先が見えません。ゼロ成長とまでは言いませんが、低成長の時代に入り、新しい規範が必要とされています。

デフレと言っても経済が混乱するような事態ではないのです。バブル崩壊や通貨危機のような非常事態を招いてしまうことの方が問題なのです。低成長の時代には、コントロールできる経済こそ望ましいのではないでしょうか?

「何のための経済政策なのか?」と、もう一度問い直すべきではないでしょうか?

  • 国民の命を守る。国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)
  • 格差社会を是正する。所得格差の是正。
  • 健康長寿の社会を構築する。年金制度、介護保険サービス
  • 高齢者が安心して暮らせる環境を整備する。
  • がん、循環器疾患、糖尿病などの予防対策を推進する。
  • 再生可能エネルギーや省エネを推進する。
  • 農業、観光など新しい成長の種あるところへの支援。
  • 文化・芸術を担う人材を育成する。新たな成長産業。

などの一つひとつは地味な政策ですが、経済施策を考える上で、いま極めて大切になってきているとは思いませんか?
「大衆を守ることが、経済の目的だ」という規範が必要だと思います。新人道主義とでも言えばよいのでしょうか、新人道主義型資本主義が求められていると思っています。


参考にした書籍

 

moripapaブログの関連投稿です