GDPは経済規模を表す指標です。異なる国と時代を比較するためにGDPという指標が使われます。でも、GDPは豊さを測る指標ではありません。豊かさはGDPには強い関連性があるのは否めませんが、GDPが豊かさの指標ではないのです。
ガベージニュースから転載
異なる国の経済規模を比較するには、今のところGDPしかありません。
日本は第3位でドイツ、イギリス、フランスと続きます。
平均的な日本人は、これを意外に思うかも知れません。
時代を比較するにも今のところGDPしかありません。
日本の失われた20年
成長経済から成熟経済に変遷しました。世界でいち早く少子高齢化になり、人口オーナスを迎えた日本なのです。
果たして、成長できないことがいけないことなのでしょうか?
逆説的ですが、GDPに反映されない経済を考えてみましょう。
家庭で料理を作って楽しむのは、GDPにカウントされませんが、ヘルパーに給料を払って料理を作ってもらえばカウントされます。
老いた母を身内で面倒をみていれば、GDPにカウントされませんが、介護サービスにお願いすればカウントされます。
親戚宅や友人宅に泊まれれば、GDPにカウントされませんが、ホテルに泊まればカウントされます。
果たして身の回りを見れば、金銭的な価値にならないことが大変多いことに気づきます。金銭的な価値にならないものの方が、豊かさを実感することが多い気さえします。
恋に落ちた人の幸せは、価格では表わせないのが普通でしょ?
以下の経済活動はGDPを上げますが、人の幸せや豊かさにはマイナスになります。
- 軍事費、防衛費の支出:人の不幸(戦争)に備える支出です。
死の商人、まさに悪徳の経済活動です。 - 犯罪、環境破壊への対策費:人を守るためのマイナス費用です。
過去の尻拭いの経済活動です - 資源の発掘費:将来の穴埋め対策(負債)を呼ぶ活動です。
未来から借金する経済活動です。
GDP経済成長、それは私たちの暮しが良くなるために、唯一とは言わないが、重要な要素ということに違いありません。 しかし、これが全てではありません。
GDPと人々の豊かさとには隔たりがあります。ダイアン・コイルは言っています。 「GDPと人々の豊かさとの隔たりは、以前より大きくなってきています。」(出典 GDP:A Brief but Affectionate Histry)
OECD では、より良い暮らし指標としてBLI(Better Life Index)を提案しています。 (BLIの日本語サイトはこちら)
その他にもブータンの国民総幸福量といった考え方もあります。
何れにしても、GDPの規模や成長だけで豊かさを計る指標とはならないのです。
また、持続可能な社会を作ることは大切です。現在の成長が未来の成長を犠牲にしてはなりません。
そしてもう一つ議論があります。GDPに金融業をカウントしないことです。金融業が付加価値を付け、利ざやが経済を動かすような世界はおかしい。それも、GDPの数%に及ぶようようでは、どこか変だと思うのです。
今のゼロ金利やマイナス金利の時代はしばらく続くでしょう。この際、金融業が招くバブル経済も含めて議論してもらいたいと思います。
さて、ゼロ成長、低成長でも、豊な国づくりができるのではないでしょうか? 経済成長が景気の基本のように信じてきた私たちはGDPの呪縛から逃れないといけません。
経済(GDP)成長こそ全てだという政策(アベノミクス)は、今や時代錯誤です。暮らしやすい豊かで安定した国を築くことに、目覚めてほしいと思います。
里山資本主義が注目されているのも、GDPとは異なる経済に本当の豊かさ、幸せがあると思うからでしょう。