終の棲家はどこ?

”終の棲家”は嫌いな言葉です。亡くなった父が”終の棲家”だといって、静岡県掛川市に戸建ての家を新築しました。
その後たった6年で他界してしまいました。以来”終の棲家”という言葉を使いたくなくなりました。

最近、自分と全く違う暮らし方があり、それを理解できない自分に気が付きました。生まれた家に、今もずーっと暮らしている方の暮らしぶりは、自分には分からないことに気が付いたのです。

僕等は”移り住む暮らし”が当り前ですから、”終の棲家”といった言葉が生まれたのです。もし”移り住む暮らし”がなければ、”終の棲家”などありません。
しかし、今の日本は”移り住む暮らし”が当り前になっています。
家を出て大学へ、家には戻らず就職し、当り前のように転勤/転居を繰り返し、退職時に土地勘のある場所に住みつくのです。

子供たちも同じように”移り住む暮らし”ですから、高齢になって気が付けば、子供たちは家にはいません。そこでまた”移り住む暮らし”を余儀なくされるのです。それが”終の棲家”の発想です。

老いらくの恋ならぬ「老楽おいらく暮らし入門」という本は”終の棲家”とは何か?に向き合っています。著者:沢部ひとみ(NPOアサーティヴ ジャパン理事)はこんな意見を持っています。

高齢期は生老病死という人生の四苦に加え、愛する者との別れや自分の望み通りにならぬことにも見舞われやすい。
せめて最期くらい思うように過ごしたいものだが、現実はなかなか厳しそうだ。
それができないのもすべて「自己責任」で片付けられそうな風潮が老後への不安をますますかき立てる。

老人のケアについて一歩踏み込んだ説明も面白い。興味深いところがあったので、転載して紹介しておきましょう。

野田正彰氏がウィーン大学医学部に滞在中、アウシュビッツの体験を綴った「夜と霧」で有名な ヴィクトル・フランクルViktor E. Frankl教授に「この20世紀を生きた人間として、先生は若い世代にいま何を伝えたいですか?」ときいたところ、
教授は「老人を世話する対象とか、哀れな人間としてみてはならない。老人は自分の引き出しの中に、生きてきた体験という、非常に貴重な宝物を持っている。だから若い世代は、自分の時間をつくって老人に話を聞きに行きなさい。そして老人がこの世紀をどう生きたかを聞くことが、老人の本当のケアです。」と話したという。

いくつになっても人間として、何を思い、何を考えるか、人として係ること自体がケアであります。多少迷惑をかけ合いながらも、ヒトとのつながりを保つことが重要であるに違ありません。

人がこの世の生を終えるとき、その人固有の人生ドラマは完成する。死は限りなく向こうにあると考えるのではなく、死を出発点として、死から生を逆に照らし、生を見つめる。これが「完成期」いう言葉が示す死生観である。
(神代尚芳 著「自分らしく死にたい:人生の完成を援助する医師の記録」より)

死を見つめる暮らしを紹介しながら、この著書の「あとがき」に

老病死に直結するような大きなテーマを自分のこととして考えていくには、虫の目が必要である。これは、いまそばにいる人から直接話しを聞いたり、その生活を見せてもらったりすることだ。(中略)
一人ひとりが自分の後半生をどう生きるのかを実によく考え、着実に老楽暮らしをはじめていた。人生を自分らしく最期まで生き切ろうという、前向きな精神に溢れていた彼女・彼らを前に、わたしは何度も襟を正された。

老後こそ、だれと、どこで、どう暮らすかが重要になります。ライフ・スタイルは人それぞれで、大きな違いがあるものです。
ただ言えることは、自分の人生を自分らしく楽しく生き切ることが大切だと結論しています。

僕らは人生100年時代のハシリを生きることとなります。その時代にはその時代の暮らし方があります。人生100年という新しい時代の暮らし方があるように思えます。

人から聞いたり、生活を見たりして調べておくことは大切です。余裕をもって、老後の準備体操をしておくことが大切です。お金をかけずに老後を楽しむ、贅沢な節約生活ってどんな生活か?

先のことは誰にもわからない。お金はいくらあっても安心できない。という発想を変えて『お金をかけないことで、楽しく健康長寿を実現したい』ものです。

健康長寿のポイントは『体と心を動かすこと』のようです。そのためには、家にこもらず、積極的に外出して、人と話し、社会の中で居場所を持ち続けることが大事です。
その生活習慣を身につけること、特に定年退職した人は会社に行くことに代わる新たな行動習慣を身につけることが、お金をたくさん持っていることよりもよっぽど重要になります。
お金をかけない節約生活で、後ろ向きな思いをする必要は全くありません。

むしろそれは、老後の『贅沢な過ごし方』と言えるものです。老化や認知症の予防にも役立ちます。「みみっちい節約生活」ではなく「贅沢な節約生活」は如何ですか?

  • 生活不活発病にならない為に
  • 外に出て元気をチャージ
  • 人づき合いの知恵
  • お財布を上手に使う方法
  • 健康のための賢い食べ方
  • キッチンには工夫がいっぱい
  • 住まいを快適空間に

家計をダウンサイジングしても、贅沢な暮らしができそうです。シニア暮らし替えのダウンサイジングで書いたように、お金を使わずに知恵を使うことは大切です。

さて、人生100年の新しい時代にふさわしい暮らしを始めようではありませんか?

 

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