この記事は3年以上前に投稿された古いものです。
自宅マンションの狭い前庭の向こうに、一本の桜の木があり、マンション住まいの我が家にとって良い借景となっていました。
特に、春の桜は見事なもので、毎年の楽しみでもありました。
その一本の桜の木が、昨日切り倒されてしまいました。
春には見事な花が咲き、夏にはセミが鳴き、秋には枯れ葉が舞い落ち、冬にはヒヨドリやシジュウカラが来てくれました。
隣家の事情で7月に小屋が撤去され、シュロが切られ、桜の木も切られてしまいました。桜の木が切られてしまった後は都会の何処にでもあるような、無味乾燥な景色が広がってしまいました。
マンション入居当時からあった桜の木は枝ぶりも繁って、我が家の窓越しに見る桜は、借景といえ自慢の桜でした。
桜の樹の下で、今年、お花見をしました。これももう出来なくなります。マンション住人の中には、桜の木を残して欲しいと嘆願書を書こうと言い出す方もいらっしゃいました。
世に移り変わらぬものは無いのが常ですが、亡くなってからその重みを感ずるものです。借景とはいえ、生活環境の一部となっていた一本の桜の木の存在も、これまた大きかったのです。
これまで長年楽しませてくれた一本の桜の木に感謝で葬りたい。