渡り鳥が教えてくれるもの

空を飛ぶ野鳥は自由であるだけに、多くの鳥は渡りをします。渡り鳥にとって国境はありません。太古のむかしより、季節に応じ自由に渡りをして、この習性を身につけてきました。

カモは冬になると、シベリヤやオホーツクから日本に南下して来ます。日本でつがいとなるために、オスは派手な羽衣ういになりメスにアピールします。そして今年の新カップルが誕生します。春になればシベリヤやオホーツクに又 帰って行きます。

ガンや白鳥も同じように冬になると、シベリヤやオホーツクから日本にやって来ます。カモと違い宮城北部の伊豆沼いずぬま蕪栗沼かぶくりぬまなど局所的に集中して飛来してきます。新潟や鳥取にも飛来しますが、およそ八割が宮城北部に集中しているそうです。
先日見学に行ってきましたが、バードウォッチと言うより、観光地なみの大スペクタクルが楽しめました。その数の多さに圧倒されました。

シギチ、即ちシギとチドリで、バードウォッチャーにシギチと呼ばれ親しまてます。
殆どが渡り鳥で、春と秋に日本各地を経由して南から北へ、北から南へ渡ります。日本では渡りの季節によって夏羽と冬羽を観察でき多種多様なシギチが楽しめます。綺麗な野鳥ではありませんが、バードウォッチャーにシギチ愛好家は多いのです。

昨年秋に行った佐賀県の東よか公園で、シギチをみてきました。これほどシギチが集まる場所はないでしょう。
圧巻な光景に目を奪われました。

こうした渡りの野鳥を保護するには、渡った先々でも保護しないと意味がありません。日本で保護活動に成功しても、シベリアやオホーツクで狩猟されているのでは意味がありません。

渡り鳥には国境がないのです。国境は人間の都合で勝手に線引きしたものなのです。
カモ、ガン、白鳥は約4,000㎞を渡ります。シギチも遠くは10,000㎞を超えて渡るものもいます。そのほか鷹やヒヨドリの野鳥も渡りをするのもがいます。

渡り鳥は国境を超えてグローバルに保護しなくてはなりません。野鳥生息地であるカスピ海沿岸の都市ラムサールで提唱された条約は優良湿地の保全ですが、これは野鳥保護でもあります。
さらに渡り鳥のフライウェーの保全について東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(渡り性水鳥保全連携協力事業)も始まりは、二国間渡り鳥等保護協定でした。

日本と米国、ロシア、オーストラリア、中国との条約・協定が始まりでした。

 

このことは、池田先生のSGIの日 記念提言「人類史の転換へ平和と尊厳の大光」にも次のように載っていました。

日本と中国には、環境問題で長年にわたり協力を重ねてきた実績があります。出発点となったのは、両国を行き来する渡り鳥とその生息環境を守る協定(1981年)で、1994年には日中環境保護協定が結ばれ、1996年には日中友好環境保全センターが北京に設立されました。その後も、さまざまな分野で協力が進み、大気汚染の防止をはじめ、植林や森林保全、エネルギーや廃棄物対策など、多くの成果が積み上げられてきたのです。

渡り鳥のグローバル保護が地球全体のグローバルな問題解決に繋がりました。現代の環境問題は、この視点が欠かせません。

鳥は空を自由に飛ぶことができたから渡りの宿命を負いました。人も学ばないといけません。
人は環境を自由にしたからこそ、温暖化などの問題解決に責務を負うことになったのでしょう。

 

 

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