都市に住んでいると、身近に自然を感じたいと思えば、それは公園に行くことです。その公園が実は以外に面白いのです。
自宅から直線距離で4Km 以内には、たくさん公園があります。駒場野公園、駒場公園、鍋島松濤公園、菅刈公園、西郷山公園、東山公園、碑文谷公園、世田谷公園、羽根木公園、明治神宮、代々木公園、新宿御苑、明治神宮外苑、青山霊園、毛利庭園、国立自然博物館付属自然教育園、有栖川公園、都立林試の森公園、世田谷公園、都立駒沢オリンピック公園などです。小さな街中の公園まで入れると切りがありません。
中でも自然を守るため、採取、立入りを厳しく制限している公園があります。そういった明治神宮、自然教育園では一寸珍しい植物や鳥や動物が育っています。
6月17日、明治神宮の北門~宝物殿の間の薄暗い林床で「これがタシロラン」と説明を受けました。
帰宅して牧野図鑑を調べても載っていません。ネット検索でヒットしたので、早速質問してみると、返信を頂きました。
タシロランは、分類された属名が同じトラキチラン属というだけで、トラキチランとはまったく別の種です。
明治神宮でタシロランが多数発生していることは数年前から報道などで知っていましたが、見に行ったことはありません。 近年、生息域を拡大しているようです。
おっしゃる通り、自生地によっては、絶滅危惧種とは思えないほど多数生えることがあります。このまま分布域と数を増やしていくと、いつか絶滅危惧の指定から外れるかも知れません。
田代善太郎氏により発見されたのは1902年、または1906年で、牧野富太郎博士が命名したそうです。
その牧野先生の図鑑に載っていないのは不思議ですが、確かに私が所有する「牧野 新日本植物圖鑑(1961年発行)」にもタシロランは載っていませんでした。
発見後、かなり長い年月に渡り再発見されなかった植物なので、掲載しなかったのかも知れません。
メール質問にも拘わらず丁寧に教えて頂きました。明治神宮にはいまや珍しいタシロランが自生するまでになりました。目を凝らして見ると林床に沢山咲いてますのでぜひ見に行ってください。
6月22日、梅雨の晴れ間を狙って、国立自然博物館付属自然教育園に行ってきました。若い頃(1980年頃)、独身寮から近かったこともあって、よくこの自然教育園へ来たものです。
少しがっかりしたのは、 棕櫚(シュロ)の木が生い茂って異様に感じました。
歩道に「シュロの数の経年変化」を示す説明板が備えてありました。やはり思った通りです。今後ますます増加が考えられるのでシュロを伐採する計画だそうです。
もう一つ、カラスの繁殖も困ったものです。カラスの鳴き声で自然の静けさは台無しです。周辺でエサを得て、自然教育園をねぐらにしているのでしょう。カラスは代々木公園や明治神宮でも、どこでも増えています。何か対策が必要ではないでしょうか。
自然を守るのは難しいことがわかります。ことに都心のど真ん中で20haもある自然教育園でさえ、自然を維持することは難しいようです。ぜひ一度、探索してみてください。
自然教育園に行ったついでに、隣の東京都庭園美術館へも足を伸ばしました。野鳥を見ながら庭園を散策してきました。
北外れに茶室「光華」があります。その裏「にじり口」辺りを歩いていると、何やら茶色い動物が?
始めは猫かな?と思ってよく見てみると何と狸(タヌキ)であります。
庭園の植栽管理をしている方に出会ったので、聞いてみると「そうなんです。狸を見ることはめったにないので、ラッキーですね」とのこと。
職員の方にもお尋ねしたところ「見たことはないが、狸がいると聞いてます」との答えです。
隣接する自然教育園に行ったり来たりして住み着いているのでしょう。都会のど真ん中に狸がいるとは驚きました。
思わぬところに、どっしりと自然が息づいている。嬉しくなりました。欧州などの都市公園では、小鳥やリスが棲息しています。
一緒に暮らせる都市でないと人間も住み難くなるはずです。
野鳥も人も地球のなかま
都市のど真ん中でも自然を守らないといけません。