9月15日は北海道へ移住して1年の記念日です。昔、関寛斎という男がいました。明治35年(1902年)72歳にして一念発起し、徳島を離れ、北海道に移住した変わり者であります。
千葉・東金の生まれで、佐倉・順天堂の佐藤泰然に学び、26才のとき長崎に遊学したというから優秀な人物だった。
後に四国・徳島藩の藩医に迎えられ、人望も厚く町医者として慕われたと言います。
関寛斎に習った訳でありませんが、74歳にして縁もゆかりも無い北海道に移住して丸1年となりました。
どうして北海道に来たのか?それを北海道の人からも尋ねられ、困って「北海道はあこがれ地」だからと軽く応えてきました。
内省的な表現をすれば「好きなことに心血を注ぐような生活をしよう」と思った故なのであります。
ところがその願いが叶う前に、この1年忙しい日々に追われてしまいました。
北海道では何もかもが初体験で、あっという間に1年が旅行のように過ぎてしまいまった。これが正直なところです。
更に、北海道は内地とは違って季節が急速に変化します。尤も、真夏は最高気温が32℃になり、真冬は最低気温が-25℃にもなり、この温度変化、即ち変化量が大きいため季節は急速に変化するのでしょう。これを身をもって感じた一年でした。
もちろん寒冷地ですから自然は全く違います。所謂、ブラキストン線を超えた新世界なのです。草も木も鳥もすべてが内地とは違います。
北海道の自然を学ぶため?特に野鳥を観察する同好会「オコジョの会」に参加して道央のあちこちを散策。野鳥や野草、季節の自然を楽しむことができました。だから最近、このブログは北海道版になってしまいました。
北海道の季節の変化が急速なだけでなく、個人的にも次から次へと諸事重なって、時間が飛ぶように過ぎてしまいました。
多事、忘れっぽくなったので、メモを付け始めました。それが今では習慣となって毎日「日記」を書くようになりました。
日記は人に見せる必要はないので、人には言えないことも書けます。だから気楽な書物です。更に、手書きで書けば忘れかけてる漢字を思い出します。ボケ防止にもなりそうです。
駒崎弘樹 氏は日記は「ジャーナリング」だと言ってます。「書く瞑想」という人もいます。
ジャーナリングとは、簡単にいえば日記のようなもので、自分の仕事やプライベートを振り返り、自身の“心の内”を書き出していく作業です。言ってみれば、自分自身との対話のようなものですね。
単なるメモは、外部からの情報を書きとどめておくものなので、断片的で系統立ったものではありません。それに対しジャーナリングは、外部からの情報を自分なりに咀嚼し、再構成していく作業です。そこでは自身の感情も含めて書き出していくことになるので、それを振り返ることで自分では気づかなかった自己に出会うことができます。
紙に書き出すことで頭と心が整理される“書く瞑想”というメソッドを提唱されている方もいます。まさに、書くということには目の前にある状況を整理するということだけでなく、眼前にある状況に対して、自分がどのように感じているのかを見つめて心を整理する作用があると思います。
忙しい日常の中では、出来事に対して、なんとなく不愉快だった、なんとなく不安に感じたという程度で処理しがちです。しかし、言語化することによって、自分の内的世界の解像度を上げることができます。その意味で、ジャーナリングには精神的にすこやかに、そして前向きに外的世界と接続できるようになる効果があります。
少し、横道に逸れてしまいました。北海道に来て1年何が起きたか話を戻します。季節の変化量が大きいだけではありません。
北海道は観光立国です。だからついそちらに気を取られたしまったのです。
札幌という街が代表するように、とにかく観光のためのイベントが多いのです。
「自然は一流、施設は二流、料理は三流、サービスは四流、関係者の意識は五流」…と北海道の観光を揶揄することばもありますが、イベントの多さは全国一だと思います。
4/10~5/19 | 定山渓温泉鯉のぼり |
5/15~21,5/23~28 | 札幌ラーメンショー |
5/17~28 |
大通さっぽろライラックまつり |
5/17~21 | 川下公園 ライラックまつり |
6/14~16 |
札幌まつり |
6/1~10/31 |
定山渓ネイチャールミネ |
6/23~25 |
サッポロ フラワー カーペット |
7/21~8/16 |
さっぽろ夏まつり(大通ビヤガーデン) |
7/21~8/16 |
狸まつり |
7/9 |
真駒内 花火大会 |
7/29 |
道新UHB 花火大会 |
8/27 |
北海道 マラソン大会 |
8/3~5 |
すすきの祭り |
9/3 |
モエレ沼 芸術花火 |
9/8~30 |
さっぽろオータムフェスト |
10/1 |
札幌マラソン大会 |
この他に有名な札幌雪まつりがあります冬の雪さえ観光イベントにしてしまう。
札幌だけではありません。北海道中が札幌に刺激されて、観光立国を目指しているかのようです。
地元の小さな町恵庭でも6/28 ~7/2まで「えにわ花と暮らし展」を盛大に行いました。春夏秋冬、あちこち見て回ったらあっという間に1年過ぎてしまいます。
こりゃいかん。少し落ち着いた生活を取り戻そうと思っているのですが、それがなかなかできません。
田舎のプチカフェやプチレストラン、日帰り温泉などなど、ちょいドライブで一日楽しめる地元観光がいっぱいあるのです。
これも、あれも行ってみたい、見てみたいと思っているうちに、北海道の1年旅が終わってしまった。北海道には179町村あるそうですが、その各町村が観光立国を目指しているんだから気を取られるのもしょうがない。
これは「心血注いてやったよな」といった生活は何時来るのでしょうか?あっという間に1年が旅行のように過ぎてしまわないようにしないと‥。人生はもうそんな長くはないのだから。