山中伸弥さんは、ノーベル賞を受賞される前、京都賞を受賞されました。その受賞記念「高校フォーラム」での講演(2010年11月16日開催)が収録され、YouTubeに公開されています。
その講演で、山中さんは経歴や信条を語っておられます。説得力がある面白い講演ですし、iPS細胞のことも少し分かります。
1時間半に及ぶ少々長い動画ですので、早送りで部分部分だけでも視聴してみて下さい。(もちろん、全編視聴してもらっても面白いと思いますが…)
35分43秒:車のVWではなくて、Vision & Hard Workという、意味でVWです。恩師Robert Mahley博士が教えてくれた言葉です。仕事にはVisionが大事だ。目的がはっきりしていることが大事です。
47分38秒:研究者として大切なことが、三っあります。
- 研究は本当に驚きに満ちている。
- 決して人間でいきなり試してはダメだ。
- ボスの言うことは信じるな。
52分35秒:NAT-1遺伝子を見つけることが出きた。ヒトには、たった3万個しかない遺伝子の一つを、自分が見つけた幸運。
その遺伝子を継続して研究できたことは、研究者冥利に尽きると思います。
1時間12分23秒:ES細胞からiPS細胞への研究に至る話。
iPSという万能細胞を作るVisionを描いて、大変なHard Workでした。
いいね。こういった体験談には感動します。成功でも失敗でも、人生を豊かにしてくれます。体験談に優るものはない。
特に高橋和利、徳澤佳美、一阪朋子さん3人の研究者のHard Workのお陰だと紹介しています。本当に大変だったんでしょうね。こういった山中伸弥氏の人柄に共鳴しますね。
iPS細胞を使った再生医療は日本の未来を支える
ゲノム編集の技術がなければ、iPS細胞(人工多能性幹細胞 induced pluripotent stem cells)は発見できませんでした。
4っの遺伝子(Oct3/4,Sox2,KIF4,c-Myc)を送り込むことで、iPS細胞が出来たのです。そして、その発見から僅か6年という早さでノーベル受賞することになりました。画期的なことです。
一緒に受賞したJohn Gurdon(英)の初期化(Reprogramming)説も、iPS 細胞によって完璧に証明さることになったのです。
これからは、皮膚、軟骨、網膜などへの再生医療に続き、血管と繋がる肝臓や膵臓などの臓器、そしてターゲットは神経です。
当面、再生能力が高い肝臓の再生医療に注目が集まっています。
iPS細胞の基本特許は日本が国を挙げて守り、取得できたという経緯があります。このiPS細胞に関係する技術は、日本の未来を支え新しい産業をも作り出すことでしょう。