野鳥をカメラに収めたくなって、カメラを買おうと調べてみると、野鳥を撮るには高級カメラと技術が必要なようなのです。
誰も教えてくれる人もいないので、自分独りで調べ始めました。
野鳥という被写体は、近づこうとすれば逃げられてしまいます。近づけないから、望遠で撮るしかありません。更に野鳥という被写体は、急に現れて動きが速いので、難しい被写体なのです。
今の8~10倍の双眼鏡で見える程度の望遠レンズのカメラが欲しいのですが、
そもそも倍率表示のカメラなんて無いのです。
8~10倍が焦点距離が何ミリ(mm)のカメラになるのか?まずその辺りから勉強しなければなりません。
勉強してみて分かったのは、双眼鏡や望遠鏡は、肉眼につける遠眼鏡という部類なのですが、カメラは違います。レンズ(ひとみ)と画像センサ(網膜)をもった、機械装置(人間の眼)をカメラというのです。これが納得できるまでに結構、時間がかかりました。
人間の眼をカメラに例えれば、35 mmフィルムで略50mmのレンズに相当すると解説されています。では、カメラの焦点距離と双眼鏡の倍率との関係はどうなっているのでしょうか?
倍率=対物レンズの有効径 ÷ ひとみ径
=対物レンズの焦点距離 ÷ 接眼レンズたとえば8倍の双眼鏡で800m先のものを見た場合、100mまで近づいて肉眼で見た状態とほぼ同じになります。「カメラの焦点距離」と「双眼鏡の倍率」の関係は?
一眼レフカメラの交換レンズ50mm(35mm判換算)が約1倍と言われているので、8倍の双眼鏡は、一眼レフカメラの交換レンズでは約400mm(35mm判換算)に相当します。(50mm×8倍=400mm)
となると一般的な8~10倍の双眼鏡では400~500 mmの超望遠レンズが必要な計算になります。これは大変なことです。
0.5~1Kgもあろうかという重い超望遠を肩に引っさげて、公園や山歩きするのは大変です。何よりも、価格が15万円~100万円もするのであります。アマチュアの領域を遥かに超えています。
ところが、デジカメはこの10年で大変な進化を遂げました。昔は35mmフィルムしか使えなかったので、400~500mmの望遠レンズしか選択の余地はなかったのです。しかしフィルムがCMOSセンサになったおかげで、デジカメに小型高性能なセンサを使えば、標準的なレンズでも望遠が効くカメラになるのです。
ここで少しCMOSセンサ談義をしておきましょう。
初期、イメージセンサはフィルムには及ばないと思われていたのですが、この10年で大きく進化しました。
CCD(Charge-Coupled Device) ⇛ CMOSイメージセンサ ⇛ 裏面照射型(BSI)CMOSセンサ ⇛ 3層積層型CMOSセンサへと進歩し、小型で高精細なイメージセンサが次々と生まれたのです。
裏面照射型も3層積層CMOSセンサもSonyが開発し量産してきました。センサではSonyに一日の長があります。
そして左の円グラフのように、センサ市場はSonyの独壇場です。Sonyに続くメーカーといえば、米国OmniVision、韓国SamsungやSKhynixなどですが、技術水準、量産の設備投資という点でSonyには及びません。
量販店のデジカメ売り場へ行っても、Sonyコーナーが賑わっています。先ごろSonyは事業拡大のためカメラ部門を分社化すると発表しました。強気な経営戦略です。
デジカメは電機メーカーSonyが主導しています。フィルム時代のニコン、キャノン、オリンパスなど光学メーカーが主導した時代とは隔世の感があります。かくしてデジカメ時代は到来したのです。
また、スマホのおかげでイメージセンサ市場が爆発的に伸びました。スマホのカメラ普及のおかげで、センサの開発が進み、技術が革新され、安価になったという訳です。
さて、イメージセンサ市場を説明するのが目的ではありません。デジカメはセンサによって分類されている事を説明しましょう。
イメージセンサの大きさによって、デジカメのジャンルや価格帯が異なり、分類されているのです。
デジカメラに凝っている人なら誰でも知っていることですが初学の者には、以下のようなジャンルに分類されてることさえ知りませんでした。
- 1/3インチ:iPhoneやスマホ用で8M程度の画像が撮れます。
- 1/2.3型:多くの一般のコンデジ(Compact Digital Camera)。
- 1/1.7型:8~6倍のズームができるハイエンドなコンデジ。
- 1型:レンズ交換もできる高級コンデジ。
- フォーサーズ:Olympus、Panasonicの一眼レフなどに採用。
- APSーC:Sony、Nikon、Canonなどの一眼レフに採用。
- フルサイズ:プロ級の一眼レフ、最近のミラーレスも採用。
最近、インスタ映えするカメラが欲しい人が多くなったようで、スマホのカメラにも小型ながら高精細なものが搭載されるようになりました。iPhone XRのセンサーサイズは、1/2.55のセンサが搭載されているそうです。
話を戻しましょう。
デジタルカメラの基本構造は、レンズと撮像素子で出来ています。
撮像がフィルムだった時代は、望遠はレンズに頼るしか方法がなかったのですがデジカメでは撮像素子、即ちイメージセンサを小さくすることで望遠が可能になりました。小さな高精細センサでもフィルム並みの画像が撮れるようになり、イメージセンサはカメラに革命を起こしたのです。
更にまた、センサー性能はフィルムにはない高感度を実現させました。フィルム時代はASA100(=ISO100)が基準でした。フィルムでは、ISO800なんて画質が粗くて使えるものではなかったのです。
ところがデジカメでは、ISO100から何とISO6400の超高感度まで実用的になっています。凄いことです。
こうなるとシャッタ速度もむちゃくちゃ上げられるので、羽ばたく鳥を撮ることもできます。
イメージセンサーの技術革新で、写真撮影は一変しました。
フィルム時代には考えられなかった映像を撮ることが出来るようになったのです。
もう一度、基本に立ち戻ってみましょう。
センサーが大きい方が画質には有利です。しかし、センサが小さければ焦点距離は短く、コンパクト化には有利です。
画質を取るかコンパクト化を取るか、デジカメ選びは背反した選択を迫りました。巨大な超望遠レンズか、コンパクトなそこそこの画像で望遠を楽しむか?悩んでしまいます。
最近、コンデジで望遠撮影ができるネオ一眼デジカメというジャンルが出来ました。
ネオ一眼デジカメの最強おすすめ人気ランキング10選【2019年最新版】を見ていただければコンデジのイメージを払拭するようなカメラばかり並んでいます。
このネオ一眼デジカメのセンサは、殆どが1/2.3型~1型ですからコンデジの部類に入ります。これに手ブレ補正、AF(オートフォーカス)、高速連写、高感度とズーム機能がついてきます。
今流行のフルサイズミラーレスは35mmフィルムと同じ大きさで高画質志向ですが、焦点距離を縮めることはできません。だから巨大な望遠レンズを搭載することになってしまいます。
将来、もしもっと高性能なイメージセンサが出来れば、今流行のフルサイズ・ミラーレスは廃れてしまうでしょう。
バードウォッチングしたことがあれば分かることですが、野鳥はジッと動かず止まってはくれません。小さな鳥は絶えず動き回っています。それも突然やって来て双眼鏡を構えるヒマもなく、あっという間に何処かへ飛んでいってしまいます。
見るのも難しい野鳥を撮るのですから、かなり高度な技術とテクニックが必要になるでしょう。その技術とテクニックを楽しみとして、野鳥を撮るデジカメを買おうと思うのです。
どんなカメラを買ったらいいか迷っています。あれこれ迷っているのも趣味の内です。
財布と相談しながらこれと決めたら、また続編を書くことにして今回はここまでにします。
参考にしたサイト:
デジタルカメラの選び方