最近、里山、農漁村へ移住したいと思う人が増えてきたように思う。
国土交通省がH18年度から推進している「マイホーム借り上げ制度」を推奨する移住・住み替え支援機構などで、住み替え移住を考える高齢者が増えています。
職場に近いところに住宅を買って、定年退職した時、どうしてもそこに住む必要がなくなってきて、高齢になって移住を考える。つまりライフステージの変化によって、都会から田舎へ移住を検討する高齢者が増えています。
高齢者と言っても、それは多彩です。定年直後まだまだ元気な人、一応自立して生活できている人、ちょっと介護が必要になった人、まさに後期高齢の人、年齢とともにさまざまです。
さらに、資産状況や家族状況、地域との関係も実に多様で、多彩です。
男性も平均寿命が80才になりました。仮に65才定年後、平均的に15年間は老後の生活があります。仮に60才で定年を迎えたら、たっぷり20年も時間があります。これからは更に長寿になるでしょうから、現役時代に匹敵する老後の生活を送る人も珍しくなくなる時代です。
このゆったりした時間も確実に変化していきます。いつまでも現役サラリーマンの延長線で考えていては行けません。自分でしか出来ない過ごし方を、予見し模索する必要があります。
その一つが、住み替え移住という訳です。
住み替え先の田舎は、人口流出が止まらず、限界集落に近いところもあります。
限界集落という言葉は、大野晃・高知大学名誉教授が「集落を守る目的」使ったものですが、いま限界集落が消滅するような印象で捉えられています。
それも「日本全体の成長のために不要な集落が切り捨てられる」ような報道や論議がなされている。
なんとも寂しい話ですが、山下裕介・首都大学東京准教授は、「限界集落が自然消滅したためしはない」と主張し、日本に多様で多彩な選択肢を残す必要性を唱えています。
そんな田舎の限界集落のような所でなくても、都会から移り住むことは実はたやすいことではないようです。
長野の安曇野で暮らした体験者、丸山健二の話は少々大げさですが、田舎に移住することは、こんな情況なんだと言います。一面そのようにも思えます。
あなた方の不意な登場、あなた方の存在そのものが、長年にわたって田舎を支配してきた不文律を破ってしまったことになる
選挙では定期的に催される老人会に酒や弁当を差し入れるてくる、それが票になる
…生い立ちやら、職歴やら、家族構成やら、親戚関係やら、持病の有無やら、果ては預金残高といったありとあらゆる立ち入ったことまで知りたがる。
口もきいてくれない、挨拶しても返してくれない。それだけならまだしも、あることないことを言いふらされる。そのくせ寄付金や分担金はしっかり集めにくる。
それが田舎の現実でもあるんだ。
これまで会社の都合で、辞令一つで、住むところを決めざるを得なかったサラリーマン現職時代とは違って、定年後は、終に自分で住む場所を自分で決める楽しさがあります。
「田舎に暮らそう」と思う決断をさせる一つの理由は、自分の住む場所を自由に選べるワクワク感にあるのです。
ある意味、全て自己責任ではありますが、自由人としての誇りと楽しさがそこにあります。