Silver 西條奈加の小説 若かった頃の自分の話からはじめる。東京の大学に入ったとき、叔母おばの葛飾かつしかの家に厄介やっかいになった。叔母の家に祖母も一緒に暮らしていた。祖母スマは亀戸かめいどのチャキチャキの江戸っ子であった。岐阜の田舎から出てきた田舎者(自分)にとって、東京は江戸っ子の粋いきな都会まちに映った。その頃、58年も昔(1968年)の葛飾辺りでは、まだ江戸下町の風情が残っていた。朝一番にアサリや豆腐の物売りの声... 2026.08.27 Silver