恐怖、怖いお話

この記事は3年以上前に投稿された古いものです。

二三年前のこと、泥酔している爺さんと警察官に、マンションのロビーで会った。何事かと警察官に聞いてみると、爺さんが近くの居酒屋で酔っ払って、店の人から頼まれて来たらしい。
話の様子では、支払いは済んだのだが、泥酔して家がわからなくなったようで、仕方なく警察を呼んだとのこと。

警察官に連れられてマンションまで来た爺さん、鍵をバッグにしまったのか、ポケットにしまいこんだのか覚えがない。
オートロックのマンションの前で、ブツブツ言ってますます警察官に怪しまれることになってしまった。

爺さんは確かにこのマンションの住人で、お喋りしたことが何回かあった。昔とある銀行の頭取までやった方で、酔っ払っていなければ一寸した紳士なのです。
だが、ロレツは回らず「鍵が見つからん」とブツブツ言ってマンションの前でフラフラさまよっている姿は、警察官に怪しまれてもしょうがありません。最後には警察官に「なんだこいつ」なんて言う始末。

僕は、警察官に「この人、怪しいものではない。ここのマンションの住人である」ことを告げ、警察官も役務上メモを取って引き上げていった。
よろよろする爺さんを支え、部屋まで連れて行って、一件落着したのですが、この事件は奥さんには内緒にしておきました。

もちろん当人は、すっかり事件のことは覚えていません。奥さんも警察沙汰になったことなど夢にも知りません。
でも、最近は夫婦連れで出かけることが多くなり、爺さんの酔っ払った姿を見かけることもなくなりました。

ここ二三年で足腰が弱くなって、すっかり老けてしまった様子。以前は、ロビー先でタバコ吸いながらの立ち話で、バブル崩壊や銀行の統廃合など一寸した昔話しを聞かせてもらったものです。

酔半分ボケ半分が、そのうち酒も飲めなくなり痴呆になります。

 

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