エイジング・パラドックスを考える【長文】

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超高齢化の時代は、若い時代が長くなった訳ではなく、「年をとってからの老化の速度が遅くなった」のであります。
人生どこまでが成長で、どこからが老化ということはありません。ずっと成長だとも、ずっと老化だとも言えます。

実は、老人は自分ことを老人だとは思っていないのであります。明らかに体力が落ちているのに、若い人に混じってフラフラになりながら激しいスポーツをしている人。体型が変わっているのに若い頃に着ていたのと同じデザインの服を着る人。若者向けの店に行って、浮いているのに気が付かない人。
実際の歴年齢より主観年齢が若く、社会的な年齢規範に基づいて行動をしないことを「年寄りの冷や水」といいます。

さてさて、老後も超高齢期を迎えれば「年寄りの冷や水」もありません。85才を超えた超高齢者の約2割は、認知症かMCI(軽度認知障害)になってます。それでなくても認知機能は落ちますから、年齢規範もあったものじゃありません。

17世紀、人類は新大陸を発見したように、21世紀の今われわれは第4の人生という新時代へと船出いたしました。

昔、吉田兼好が『古きつか多くはこれ少年の人なり』といったのは平均寿命50年に満たなかった時代です。

日本でも、センテナリアンはこの50年間増え続け2019年7万人を突破しました。

誰しも他人ごとではない「超高齢」について学ばなくてはならない時代になったようです。そのうち「古今これほど老化という価値観が変わった時代はない」と言われる時が来るかもしれません。

是非もありません。ミリオネアとなってサクセスエイジングの人生モデルを楽しむほどの気持ちで参りましょう。
私達老人が、自然に楽しそうに華やいだ雰囲気の中で暮らしていることが、将来、新たに老人になる若い人々に幸福感を与えることができるならば、「世のため人のため」となるでしょうから。

そのためには、不屈の楽観主義で参ろうではありませんか!

(完)

参考文献:老いのこころは超高齢テキストとして紹介したい書籍です。

  1. 老いのこころ — 加齢と成熟の発達心理学 (有斐閣アルマ)
  2. ご老人は謎だらけ 老年行動学が解き明かす (光文社新書) 
  3. 老いと記憶-加齢で得るもの、失うもの (中公新書) 
  4. 超高齢期の心理的特徴 -幸福感に関する知見-
  5. バルテスによる生涯学習の獲得・喪失モデル(gain/loss model)
  6. 認知症「不可解な行動」には理由がある (SB新書)