エイジング・パラドックスを考える【長文】

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Raymond Cattell

Raymond Cattellが提唱した結晶性知能は、過去の学習経験を高度に適用して得られた判断力や習慣、つまり経験の結果が結晶化されたものです。

この知能は60才をピークとして、なかなか衰えない能力だそうです。それも、更に習慣化することで能力があがるそうです。習慣化は重要です。

結晶性知能とは、深い洞察力や理解力、内省力や自制力、言語能力や批判能力、社会的適応能力、コミュニケーション能力などで、これらは経験や思考によって培われた能力といえます。

従って、結晶性能力を昂めるには、外に出て人と会話したり、自然に触れてたり、本を読んで思考したりすることが大事です。
演劇や映画、絵画、写真をみて心を動かし、考え、知的体験を自分のものにする必要があります。

ただ、漫然とルーティンワークをこなしているだけでは、結晶性知能は昂まりません。そこに工夫や新たな発見を見いださなくては結晶性知能は昂まりません。

創造性は、高齢期の生活にさまざまな効果をもたらすと云われています。絵を書いたり、俳句を作ったりする創造的な活動は、人生の生きがいや張り合いを与えます。

「生きがい」という単語は日本語にしかないようです。米国から来て日本で暮らした学者が、日本を離れる際に「日本土産として『生きがい』という言葉を持ち帰りたい」といったそうです。
欧米には「生きがい」という語彙がないようです。 reason for living(英語:生きる理由)でも、Zweck des Lebens(独語:生きる目的)でも、But de la vie(仏語:生きる目的)でもありません。

超高齢となって「生きがい」とは、生き生きと日々楽しんでいる姿です。その姿こそ老人が老人として受容する「生きがい」感覚だと言えます。

更に、創造的な活動をすることによって、人生を受容する感覚が高まり、死の不安さえも低減するとも言われています。
知恵ある人生、創造性豊かな人生は充実した高齢期に大切な要件のようです。

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