「LIFE SHIFT」の考え方は、既に引退した人々にとっても示唆に富んでいます。その訳は、引退後の時間が長くなったからです。中には20~30年にもなる人もいるでしょう。
著書「LIFE SHIFT」が提案していることを簡単にまとめてみると、複線型人生(Multi Stage Life)へ変身することです。
Multi Stage Life での選択肢は多様です。働き方として類型化すれば、次の3っだと言います。これら各Stageは、ある意味結果論で、目標や目的ではありません。詳しくは本書に譲ります。
- 探検家:エクスプローラー(Explorer)
- 独立生産者:インディペンデント・プロデューサー(Independent Produser)
- 多面組替労働:ポートフォリオ・ワーカー(Portfolio Waker)
新しいMulti Stage Lifeでは、年齢(Age)とは関係ないし、どんなStageを選択するのか? いつ頃そのStageを歩むのか?決まった順序も、決まった年齢もありません。これが3Stage Lifeの働き方とは全く違うところです。
そして、Multi Stage Lifeは、有形資産、無形資産の視点から見ていく必要があります。
どんな技能を身に着けているか?(生産性資産)、意欲と活力が培われてるか?(活力資産)、更には新Stageへ変身を可能とする資産(変身資産)を身に着けているか?です。この三つのうち最も大切なのは、変身資産ではないかと思います。
変化はときに難しく、大きな不安をともなう。当然、難しい変化ほど、私たちは準備できていない。変身資産はそうした変化のプロセスを助けるためのものだ。移行につきものの不確実性への対処能力を高める要素と言い換えてもいい。
これからは、人はそれぞれの変換期に周到に準備された変身資産があるかないかが問われます。社会的に大きな変化が生じる時代を生きるため、新Stageの働き方が求められると説きます。
テクノロジーが目を見張る進歩を遂げると予想される以上、キャリアの初期に身に付けた、専門技能を頼りに長い勤労人生を生き抜けるとは考えにくいのです。生涯を通して新しいスキルと専門技能を獲得し続けることが一般的になるでしょう。
さて、既に引退した我々にも、無関係なことではなさそうです。
その理由は、人生100年が珍しいことではなくなり、引退後の人生は長くなったためです。こんな面白い説明もありました。
Explorerの日々は見違えるほど若さを取り戻せる機会になりうる。70代の人はややもすると、長寿のリスクに脅えて生きることが当り前になりがちだ。しかし、日々の生活を脇において冒険に乗り出せば、現在のライフスタイルを問い直し、新しい選択肢見出すことを通じて、活力の回復が大きく後押しされるかもしれないのです。
また、異なる種類の活動を同時に行うPortfolio Waker のステージもまた、特定の年齢層に限定したものではありません。
大切なことは、「70代、80代になったときの私は、いまの私が下している決断を評価するだろうか?」と問うことです。
故ネルソン・マンデラは、「教育は世界を変える最も強力な武器となる」と喝破しています。自らを変えることは教育以外にありません。それではリカレント教育について考えてみましょう。