里山、林業、自然林

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自然林、極相林を自然だと思ってきたが、人がかかわってできる里山や林業の人工林も自然の一つだととらえるのが正しい。

モリパパは1970年交換学生としてドイツに、ひと夏滞在したことがあります。シュトットガルトStuttgart近郊のホーエンハイム大学 Universität Hohenheim で土壌調査のお手伝いをしてました
大学の研究室を出て、毎週、野外調査に歩きまわりました。
主にシュバルツバルトSchwarzwaldをはじめシュヴェービッシュSchwäbisch地方の林野を点々と調査して廻りました。
45年前の昔ですが、ドイツの山林はよく管理されていて、明るく気持ちよかったことを今も鮮明に記憶しています。

その後、就職してから、仕事で秋田・八幡平の環境アセスメント調査に加わる機会を得ました。八幡平の他にも、九州霧島や飛騨高山などの野外調査に、大学の教授にお伴し、植生について個人的に教えて頂いたこともありました。これも37年前の話しです。

これまでの調査の経験から、山林の植生には人より詳しいつもりでいましたし、人一倍興味を持っているつもりでした。しかし、この本「日本林業はよみがえる」 を読み、今更ながら新たな知識を得ることができました。

林業のルール、森づくりの林業、林業の採算性、林業を支えるシステム、環境、観光などの多面性を知りました。

実は、この著者も出身は慶応大学院ドイツ語修士だそうで、もともと林業とは関係がなく、2001年以降経済同友会に出向し、環境問題を担当してからライフワークとなったそうです。
「まず目に浮かんだのはドイツでの経験でした」と言っているように、ドイツでは森は身近なところにあります。これにはモリパパも同感。

日本林業は、戦後の復興特需による伐採、植林と異常な林業の時期があったそうです。そして戦後の植林から50年を超え、今いよいよ利用段階に入っているそうです。保育から利用への転換期にあるそうです。

毎年結果が判る農業と違い、40~50年先に結果がでる林業では、長期予測しながらアカデミックな取り組みが必要なんでしょう。経営的な側面も重要ですし、自然環境の維持保全や、観光資源としての管理まで、総合的な施策が必要となってきます。

人の手が入った里山から、人手をかけた林業、そして人手を入れてはいけない自然林まで、総合的に自然環境を守り維持することが必要なんですね。
しかし課題は山積ですね。人がどうコントロール(制御)するかといった思い上がった管理方法ではなく、森林もりに人がどう関わっていくか?が問われているような気がします。