瓦礫を活かす森の防波堤

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宮脇 昭 先生が東日本大震災の復興プラン「瓦礫を活かす森の防波堤: 植樹による復興プランが日本を救う!」 を読んだ。もう86才になられる宮脇先生の活動に共感した。

マスコミで話題になった「奇跡の一本松」は、生き抜いたいのちを大切にする点では共感できるとしても、マツの単植林だけでは災害に弱いことが誰の目にも明らかになり、たまたま被災後数ケ月だけ生きのびて枯死したマツがそれを証明する結果となった。(瓦礫を活かす森の防波堤 p.10)

多少、日本の植生を学んだモリパパにとって、海岸はマツしか生えない環境だと思い込んでいたが、学者の宮脇先生が言われるんだから、常緑広葉樹林が本来の姿、潜在自然植生であることに間違いないんだろう。
海岸の白砂青松は人口の代償植生だったのか!

大部分の日本の潜在自然植生は照葉広葉樹林であり、多層構造で深根性、直根性の樹種でできいるのが本物の森なんだそうだ。
その本物の森で”緑の長城”を築こうとする構想なんだそうです。

細川護煕元首相と2012年2月、細川護煕元首相から協力したいと申し出があって、5月に公益財団法人「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」が立ち上げられたそうです。(現在は鎮守の森のプロジェクト

今年(2014年)3月、東日本大震災より3年に際し、細川護熙理事長のコメントが掲載されています。

自然との共生・循環を考慮した際に、巨大なコンクリートの壁で固めてしまったのでは、あまりにも知恵がないことです。
<中略>
津波が来た土地をどのように再生させるかということに、一石を投じたのが「森の長城プロジェクト」です。本来は地権者の枠を越えて、津波が来た土地を特区化して進めるのが復興計画のはずです。しかし、そのコンセンサスを取るために出来た復興庁も、どのように機能しているのか、周囲には伝わってきません。一気には変われないこの国のシステムを、今こそ問題意識を持って変えるのは、我々国民ではないでしょうか。

昔、細川さんが熊本県知事だった頃、仕事でお会いしたことがあります。熊本県庁の方は、お殿様と言ってたほど品格がある方でした、私欲のない政治家だったのでしょう。
私欲のない学者(宮脇先生)に政治家(細川元首相)が相呼応して、プロジェクトはスタートしました。いい仕事をしてもらいたい。

宮脇先生は、植物生態学者である。「そんなことやったら一生日の目を見ないだろう」と言われた植物生態学の道へ進まれました。

潜在自然植生とは「人間の影響をまったく停止したと仮定したときに、その土地の自然環境の総和が究極的に支えうる自然植生」だそうで、恩師チュクセン教授から教えられたそうです。「見えないものを見る努力をしろ!」と教えられたそうです。なかなか哲学者です。最も大切ないのちは見えない。見えないものが最も大切なんです。

宮脇先生のロマンは、次の氷河期が来る9000年先に思い馳せ、東北被災地沿岸300kmに苗木9000万本を植えて森の防波堤を作ろうというものです。
気宇壮大なロマンを感じ、共感し、嬉しくなりました。

やりますねー 、嬉しいですねー