ブリグジット(Brexit)に民主主義を考える

この記事は3年以上前に投稿された古いものです。

毎週日曜日、聖教新聞に掲載された特集「揺れる欧州統合、英国離脱の衝撃」を読ませてもらった。9/25が最終回(8回)となってしまった。この最終回の記事は、これからの民主主義を考える上でなかなか良い特集記事でした。brexit最終回(8回)の最後の部分「一人が歴史を変え得る」を感心して読ませてもらいました。

シューマン・プランから紐解き、サッチャー元英首相と欧州統合について、ジャック・ドロール欧州委員長とマーガレット・サッチャー首相との対立に遡っての解説は、英国とEUの統合離脱の問題が今に始まったものでないことが良く分かりました。
しかしBrexitで、議員辞職したデーヴィッド・キャメロンはもちろんのこと、ボリス・ジョンソンも含めて、二人とも責任は重いと言わざるを得ません。

複雑な問題に、単純な二者択一を求める国民投票を充てること自体、正しい政治判断ではありません。

その通りで政治家の責任放棄です。口八丁Journalist扇動者Demagogが力を得てしまうような民主主義では、判断を誤ってしまいます。
更にまた、以下のチャーチルの言葉が紹介されていました。

民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた他の全ての政治体制を除いてだが

この言葉は「民主主義こそが最良である」と言った逆説ですが、もう少し掘り下げた言い方をすれば「民主主義も所詮は、(為政者の)人格で決まる」と言っているのです。

いじめを見て見ぬふりをするような「多数派の意見」を、それはそれで、正しいといったような民主主義は可怪しいのです。
多数派の傍観者に、勇気を持って「No」を突きつけられる人格者を選ばなければなりません。

特集表題にある通り、「一人が歴史を変え得る」ことを肝に命ずべきです。そのために「対話」は重要です。一庶民であっても政治を監視すべく、関心をもつべきなのです。

脱線しますが、これをCivic Engagement(市民参加)と言います。日本は先進国の中で、この Civic Engagement が最下位に近いレベルなのです。(OECDのBetter Life Indexでの評価)

充分な議論を闘わせないで、議論する時間を与えないで、是非を問うような「民主主義は最悪な政治となる」のです。
安易に口八丁Journalist扇動者Demagogの言うことを真に受けてはなりません。
複雑で奥深い問題を、いきなり大衆へ、Yes / No で問うような、やり方は卑怯です。こういったやり方が、いい結果を産まないことをBrexitは証明してくれました。

僕たちは、まだ来ぬ未来に責任を取らなくてはなりません。即ち子供たちから預かっている未来を台無しにしてはならないという責任があるのです。