戦争の時代へと時代が傾むき、とうとう太平洋戦争に突入しました。そのころ台湾日本兵の志願兵を募集しています。
その募集にどれだけ集まるか心配する向きもあったようですが、蓋を開けてみると、志願兵が殺到し第1回の応募には1千名の定員に対し42万名が応募。第2回目も60万名の応募があったそうです。
戦争の激化により、1944年9月から台湾人も兵役義務が課せられるようになり、総勢21万人の台湾日本兵が戦地に行っています。
特に、勇敢で有名なった高砂義勇隊は志願兵だったのです。
終戦後、日本は台湾の統治を放棄しただけで、その帰属がどこにあるのか、サンフランシスコ講和条約や日華平和条約にさえも書かれていなかったのです。
ただ、米軍の艦船から蒋介石率いる国民党が、台湾に上陸して来たのです。この時から、台湾に住んでいた内省人と、蒋介石率いる国民党と共に移住して来た外省人との軋轢が始まります。
これを台湾では「犬が去って、豚がやって来た」と言うようです。吠える忠犬(日本人)が去って、民度の低い豚(国民党)がやって来たと言う訳です。
「アメリカは日本に原爆を落としただけだが、台湾には蒋介石を落とした」とまで言われました。
二・二八事件(1947年)は台湾史上、有名な事件です。
以来、国民党による弾圧の歴史が続きます。
1949年7月、警備司令部の戒厳令布告され、1987年7月に解除されるまで、戒厳体制は、実に38年間続いたのであります。
李登輝が台湾総統の時、1991年に国是会議が招集され、動員乱時臨時条款が廃止され、国家統一綱領が発表されました。やっと自由な台湾がなったといえるでしょう。
李登輝は、日本の統治も知っているし、戦時中は自身も日本陸軍の少尉として従軍しています。戦後、国民党・蒋介石の統治も味わっています。今、92才になる李登輝はこのように言ってます。
日本人には理解しづらいかも知れない。日本人にとって、自分は日本人であり、日本という国家の一員であることは、自明の理であろう。国際社会日本国家、日本人という存在を疑う人はいないといってよい。他方、台湾人はこの国家のアイデンティティーという問題がある。これを解決しない限り台湾の未来はないと言っても過言ではない。
他方、台湾において、共通の国家意識の醸成を阻んできたのは、旧時代の歴史や政治構造によってもたらされた「族群問題」である。つまり、先述した本省人か外省人かという問題である。また台湾には、ホーロー族(明清時代に福建省南部から移住した移民の末裔)や客家(清朝時代に広東省南部から移住した移民の末裔)、原住民、そして外省人など出身背景の異なる「族」の対立という固有の問題がある。
台湾にとって国家アイデンティティーという問題は、自分国を自分の国として認める基本的な認識が、最も重要だと李登輝は言ってます。これを解決しないと「台湾は中国の一部」といった暴論を防ぐことはできないでしょう。台湾は北京コンセンサスに揺れ動き、台湾人として屹立とした国家を作ることができません。
台湾のこれまでの歴史を踏まえた上で、これから未来のビジョンは、どうあるべきなのでしょう?