日銀バブルによるパラダイム・シフト

ここ6年半を振り返って、ハイパーインフレが起きなかったばかりか、ドル円レートも安定していました。むしろ「円」は安全な通貨だと思われています。かつてギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥ったとき、公的債務はGDPの1.7倍程度でした。(デフォルト以降に悪化)

いまの日本の債務は、既にGDPの2倍を超えてしまいました。でも、日本の民間資産(総資本)や貿易黒字(収支)を見ればギリシャとは全く違います。

日本の民間資産が多いことを揶揄して、「貯蓄好きの日本人」と言われて来ました。実は、将来が不安だから貯蓄するのですが、この貯蓄は、回り回って政府に貸し付けられていて、債務保証しているのです。即ち、日本は貯蓄という形で、政府の借金を支えているとも言えるのです。
もしギリシャのように、公的債務の殆どが対外債務であると大変です。そう言った意味で国債が国際化するときが心配です。

池尾和人教授は「2020年代後半以降は財政需要が一層膨張するなか、貯蓄率は下がり貯蓄を取り崩して生活費に充てることになる。そうなると経済的な景色が今とガラッと変わる可能性がある」と予想しています。
日銀が金利を抑え込もうとしても「キャピタルフライト(資本逃避)を招いて通貨価値が急激に下落し、通貨防衛のために利上げせざるを得ない。そういう局面が20年代後半以降、あり得ないことではない。」と言っています。

池尾教授は東京証券取引所が進める市場改革の有識者会議の委員を務めています。日銀は異次元緩和の一環としてETFを大量に買い入れてますが、市場改革がこれに影響を与えることはないだろうとの見方をとっています。
市場再編により最上位の指数から外れる銘柄が出ることについても「短期的に売られても中期的には経営実態を反映した値動きになるだろう。」と述べています。

渦中の人には分からないのがパラダイム・シフトです。安倍政権と黒田日銀の体制が6年半も続きました。
国の借金は漫然と増え続け、社会保障制度などの構造改革は進まず、労働生産性の底上げもなく、ほとんど何の備えもできないまま経験したことのない超高齢化社会へと進み続けています。

2020年代後半はおろか、その先も今の財政に大きな変化はなく、日銀もこれ以上の手立てがない状態が続くことでしょう。

資本主義と民主主義が表裏一体の関係になってきています。膨大な公的債務と上手く付き合う新しい時代のパラダイム(社会規範)を受け入れなくてはなりません。
人口ボーナスならぬ人口オーナス(Demographic onus)、即ち少子高齢化というマイナス効果を受け止める必要があります。

ゼロ成長、ゼロ金利、ゼロインフレを定常状態に考えなければなりません。近代資本主義を駆動させてきた理念を逆回転し、新しいポスト資本主義システムを志向する必要があります。

しかし、米国や中国など巨象ともいえる経済に、押しつぶされそうな現状が、一方にあります。
巨大な経済大国の横暴を許さないグローバルな仕組みや、利益追求の金融のバケモノを見逃さない、許さない仕組みを作る努力が必要です。
そのために里山資本主義が注目されたり、ゼロ成長、資本主義の終焉が言われたりしました。

これからの経済は、どんな景色になっているのか分かりません。きっとパラダイム・シフトを想わせるようなすっかり変わってしまった景観を呈していることでしょう。その真っ只中にわれわれは居るのでありましょう。

(おわり)

最後までお読み頂き恐縮です。未来を語ることは次世代の人に、任せなくてはなりません。老人は静かに去りましょう。

 

 

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