これからの日本は、本格的な増税時代に突入するのです。
否、これまでも増税が進んだんですが、これまでの増税感とは比べものにならない増税時代がやってくるという意味です。
公明党が主張をしてきた軽減税率は、10月14日安倍首相が「2017年4月1日に消費税率を10%に引き上げる際に何らかの形で軽減税率を導入できるよう」指示したことで、一挙に加速しました。
所得税には累進性があり、富裕層には高税率を課しています。
しかしながら消費税は、富裕層にも庶民にも同率の負担を求めることから逆進性が強いんです。エンゲル係数が高い庶民にとって、厳しい税負担を求められることになる訳です。
消費税の逆進性をどう解消するか色々な方法があるんですが…
- 所得の累進課税を強化する
- 低所得者対策(税の還付)を実施する
- 給付付き税額控除(人頭に合わせた還付) 例;カナダのTax Credit
- 軽減税率
こういった論議は終わっています。公明党が主張した軽減税率で決まりました。庶民に分かりやすいことが大切です。
自民に任せておいたら、やれ税収減少だの、煩雑な事務処理だの、庶民のことを置き去りにした議論ばかりで、前進しません。
そこ行くと今回の安倍首相判断は良かった。よくやった!
これで将来とも「消費税+軽減税率」で行くことに決まったんです。公明党の粘り強い努力の成果です。
消費税先進国のEUやOECDの税率はほぼ20%~25%ですが、消費税(正確には付加価値税=VAT)の逆進性を緩和するために食品等の生活必需品には軽減税率が導入されています。
消費税(VAT)導入先進国では、軽減税率は当たり前のことになっているんです。ただこれをどの程度の税率レベルから導入するかということが焦点だったんです。
消費税が8%のときに導入するのか、10%になるときに導入するのか、更にその先か、議論されてきたというわけです。
公明党は、8%又は10%のときには導入すべきだと主張してきました。この判断には庶民感覚が必要なんです。公明党だからこそ肌身で感じる痛税感がわかるんです。こういった庶民感覚が重要なんです。
将来は、社会保障の充実を推める上で、更に高い税率になり、EUやOECDの消費税と同じ25%レベルにまでなるでしょう。
えっと思われるかもしれませんが、1000兆円を超す国の借金が積み上がったのも、一面増税できなかったツケでもあるのです。
社会保障の充実を図る先進国では、増税と借金は裏腹の関係です。日本は増税ができずに借金に頼ってしまった訳です。
民主党がかつて主張したように、行政の無駄遣いで国家の財政を改善できるようなレベルではないんです。
抜本的な施策でなければ、1000兆円に積み上がった借金の返済はできません。簡単にいえば借金か増税か?このバランスを考えて国を運営するしかないのです。
自由主義のアメリカは自己責任が基本ですから、社会保障の充実は低いレベルに抑えられてしまいます。オバマの国民皆保険の努力も空しく終わりました。
しかし、スウェーデン、デンマークのような社会保障先進国では、社会保障を充実のために、増税し、日本のように借金を積み上げないで済んでいます。
さて、我が日本は1989年に消費税導入しましたが、その後も苦難の道でした。「増税」は政治家にとって禁句でありました。でも国家の財政を見れば、増税しか方策はありません。
「消費税増税反対」なんて言う共産党に言ってやりたい。
「この日本を潰すつもりか!」無責任にも程があります。
さて、責任政党になった民主党は野田内閣のときに、三党合意のもと消費税の増税に踏み切ったのです。
政治生命を失いかねない「増税」ですが、1000兆円の借金を放っておくわけにはいきません。
日銀が掟破りの異次元金融緩和で、国債を買いまくっても解決にはなりません。必ず借金返済のために増税を余儀なくされるのです。国債に信用がなくなれば、ハイパーインフレになりかねません。日本は混乱し、世界経済にも大打撃を与えます。 参考:異次元の金融緩和策は、非常に剣呑な政策
少子高齢化、人口減少、ゼロ成長がはっきりた日本では、経済成長では税収を期待できないんです。消費税は25%レベルになることを覚悟しなくてはなりません。そして「消費税+軽減税率」の構図を、今から整備しておかないといけません。
首相 | 年月 | 出典:nippon.com |
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大平 正芳 |
1979年1月 | 財政再建のため「一般消費税」導入を閣議決定。同年10月、総選挙中に導入断念を表明したが、大幅に議席を減らす。 |
中曽根 康弘 |
1987年2月 | 「売上税」法案を国会に提出。国民的な反対に遭い、同年5月に廃案となる。 |
竹下 登 |
1988年12月 | 消費税法成立。 |
1989年4月 | 消費税法を施行。税率は3%。その直後、リクルート事件等の影響もあり、竹下首相は退陣表明、同年6月に辞任。(※1) | |
細川 護煕 |
1994年2月 | 消費税を廃止し、税率7%の国民福祉税の構想を発表。しかし、連立政権内の足並みの乱れ等から、発表翌日に撤回。 |
村山 富市 |
1994年11月 | 消費税率を3%から4%に引き上げ、さらに地方消費税1%を加える税制改革関連法が成立。 |
橋本 龍太郎 |
1997年4月 | 消費税率を5%に引き上げ。(※2) |
鳩山 由紀夫 |
2008年9月 | 「消費税率は4年間上げない」とするマニフェストで民主党が総選挙で勝利、政権交代を実現。 |
菅 直人 |
2010年6月 | 参院選直前に「消費税10%」を打ち出し、選挙に惨敗。 |
野田 佳彦 |
2012年6月 | 消費税率を2014年に8%、15年に10%に引き上げる法案を提出。8月10日、参院本会議で可決成立。(※3) |
安倍 晋三 |
2014年4月 | 消費税率を8%に引き上げ。 |
2014年11月 | 2015年10月の消費税引き上げを1年半延期。 |
(※1) 竹下内閣で初めて導入された際の消費税率は3%、それに伴う国民の税負担増は3.3兆円。
(※2) 橋本内閣が5%に引き上げた際の負担増は、一般的に9兆円と言われている。その内訳は消費増税2%分とそれに伴う特別減税の打ち切りによる負担増が7兆円。さらに医療費における本人負担引き上げによる負担増が2兆円。
(※3) 野田内閣による消費増税に伴う国民負担増の見通しは、14.2兆円となっている。内訳は、消費税の5%から10%への2段階の引き上げに伴う税負担の13.5兆円。東日本大震災のための復興増税および、住民税、年少者扶養費控除の廃止に伴う負担増が0.7兆円。
日本の未来が見え始めました。消費税に手を付けずに、健全な日本社会は出来ないということを。政治家が最も嫌う「増税」に手を付けないと、日本は潰れてしまいます。
更に、消費税以外にもこれから手を付けないといけない税があるんです。それは資産税です。
現在、資産税は固定資産だけです。株、債権、銀行預金などの流動資産には税金がかかりません。ところがマイナンバー制によって、個人の資産が白日の下に晒されてしまいます。時間はかかりますが、課税対象にできるのです。
マイナンバー制の目的は、新規課税対象の掘り起こしなのです。これからは個人の資産総額に対しても、固定資産税同様、課税される日が来ることでしょう。
将来の個人徴税システムは、所得税、消費税、資産税の3本建てタックス・ミックスとなります。ともかく増税時代がやって来ます。
少子高齢化が問題にされていますが、長生きできる日本は幸せな社会です。 増税、それは支え合う温かな社会を実現するためものでなくてはなりません。