ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ(Double Irish Dutch Sandwitch)という言葉はサンドイッチの種類ではありません。
グローバルな節税戦略の一種で、最初はApple社が始めたものです。でも今やこのように名前がつくほど知られるようになっています。
詳しい手法は別にして、このような節税戦略で、日本だけでも徴税漏れが20兆円というから、これは放っておけません。
消費税5%→8%の増税が、たった4.5兆円だったことからみれば、20兆とは大変な金額です。
今やIT企業は、地域を超え、国を超え、税金が安い国は何処か?世界を徘徊しています。
Double Irish Dutch Sand witchについては、とてもややこしいのですが、それでも知りたい方はこちらのブログを見てください。
USAではTax Havenに利益を移し節税できないようにTax Haven税制という法整備がなされてますが、それでも徴税を潜り抜けているのです。この戦略は、商標権・特許など知的財産権のライセンス契約を使ったものです。
今回、東京オリンピック エンブレム事件がありましたが、知的財産権はますます重要になります。
グローバルな節税戦略を採っている企業は、みなさんご存知の Apple、Amazon、Google、Hewlett Packard(HP)、Micro Soft、Starbucks などです。
これらグローバル企業の実効税率がなんと2%程度というのですから、ほぼ脱税に近いレベルなのです。
左のように、各国とも徴税漏れは見過ごすことができないほど大きな金額なのです。
¥120/$で円貨に換算すると
米国は40兆円、ドイツ26兆円そして日本は20兆円なんです。
各国とも税収喪失が問題になり、グローバル・ガバナンスが重要になっています。
OECD (経済協力開発機構)でもこの問題を取り上げて、議論されていますが、未だに有効な対応策を具体化できません。
以前に投稿した「グローバリズムと民主主義の赤字」のなかで国際課税について触れましたが、企業利益に対する国際課税には様々な課題が出てきているのが実情であります。
これまでは、二重課税の排除、合算課税などが優先されてきたのですが、逆に各国とも租税回避策、特にグローバル節税戦略に対して甘かったのが実態で、徴税漏れの問題が後手に回ってしまいました。
世界各国では競争するように法人税率を下げ、安倍内閣も今年度(2015)から法人税率を下げました。
これは問題です。
法人税率を下げるのではなく、世界の主要各国(G20)で協調して法人税引き下げの競争に歯止めをかけるべきです。
法人税引き下げの競争に歯止めをかけ、Tax Haven を始めグローバル節税戦略に対応するためには、世界的な統治機構(グローバル・ガバナンス)で対応するしかありません。
実は、世界的な統治機構の課題は、1990年代初めまで登場していなかったそうです。それまでは相互依存という言葉が、国家間の関係の管理を描写するために使われてきたそうです。
国家安全保障モデルも含めて、一国の政府を超えた新しいグローバル・ガバナンスが求められる時代になっているのです。
一つの国家では、政策を決定できない新しい時代を迎えています。どうやら21世紀とはどんな時代なのか、少し分かりかけてきました。