恐竜が進化したのが鳥です(その2)

鳥類が恐竜から進化したものだと考えると、彼らは恐竜の一味ということになります。

恐竜が初めて発見されたのは180年前のこと。巨大爬虫類だと描かれました。が、やがてイメージは変わり、尾を上げて駆け巡り始め、今では鮮やかな羽毛をまとっています。とんでもない成長を遂げたものであります。

鳥類学者 川上和人は、著書「鳥類学者 無謀にも恐竜を語るの中で、こう述べています。

絶滅、絶滅と言われて、神秘性を誇った恐竜でありますが、実は絶滅していませんでしたとは今更言いにくいものです。
でも系統関係が明らかになってくるにつれて、鳥は恐竜であるという表現が使われるようになってきました。

今では、恐竜に羽毛の色まで着けられるようになってきました。

美しい羽毛の王、ユウティラヌス・フアリ(Yutyrannus huali)

メラノソー ムmelanosome(色素を内包した細胞内小器官)の存在が確認できて、色を特定できるようになりました。
細長いメラノソームは黒か灰色、球状のフェオメラノソームは赤褐色や黄色という具合に、色を推測できるそうです。

鳥は、恐竜と違って空を飛びます。これが鳥の最大の特徴です。
空を飛ぶには、実は大変なエネルギーが要ります。
そのエネルギーを発生させるには、多量の酸素が必要なのです。

鳥の筋肉はミオグロビンというヘモグロビンに似た赤い色素があります。ニワトリとは違い、空を飛ぶ鳥は赤い筋肉なのです。

鳥の呼吸器の仕組み

鳥の呼吸は気嚢きのうと肺でおこなわれます。気嚢は膨らんだり縮んだりして空気を送るポンプの役割をしています。

吸ったときも吐いたときも新しい空気が肺に送られ、新しい空気と古い空気が混ざらない仕組みを持っています。更に、エネルギー代謝でできた体内の熱を素早く外に逃せられる驚異的な効率の良い仕組みを持っています。

これも恐竜から受け継いだものです。哺乳動物には見られない優れた効率的な呼吸システムです。
詳しく知りたい方はこちらのYoutubeをご覧ください。

鳥は卵を生む卵生です。これも恐竜から受け継いだものです。
もし、鳥が胎生だったらもう大変!飛べない育児の期間に、捕食者に襲われてしまうことになるでしょう。

一枚一枚は左右非対称となっている風切羽

鳥を鳥たらしめているのは、何を隠そう羽毛であります。

羽毛も恐竜から受け継いだものです。これが、ものすごい進化を遂げました。

それは翼を作る羽根に進化したことです。
一枚一枚が左右非対称となっている風切羽は、それはもう芸術的です。素材はケラチンというタンパク質でできていて、ヒトの髪の毛のようなものですが、その構造は全く違い一本一本が美しい羽根になりました。

恐竜の羽毛は飛行以外の用途、すなわち保温やディスプレイに使っていたのですが、鳥では空を飛ぶ翼のために、羽根に作り替えました。素晴らしい進化です。

鳥の羽毛は少なくとも1年に1回は入れ替えることで、古く傷んだ羽毛を処分して、新しくきれいな羽毛に着替えます。これを換羽(かんう)と言います。
換羽を別名「鳥屋とや」とも呼びます。「とや」は鷹匠が使った言葉で、換羽中の鷹を小屋で休ませました。

風切羽の構造

風切羽(翼の羽)の換羽は、左右対称に進んでいきます。
飛ぶのに重要な初列風切(翼の中でも先端の方の丈夫な羽)は、通常内側から外側へ向かって順に抜け落ち、生え替わっていきます。

一挙に抜け替わらず、いつでも飛べるようにできているのです。

ところがカモ類は、抱卵期でのエクリプスのオスは、羽根が殆ど抜け落ちてしまうそうです。このときばかりは飛ぶこともできなく無防備になります。(抱卵期のシベリアでのお話?)

鳥類に有って恐竜にないものが、(くちばし)です。鳥類はこの嘴によって、過去を捨て去り、空に特化したミラクルボディーを得ました。鳥の嘴は完全飛行生活のシンボルなのです。
毛づくろい(グルーミング)、物をつまむ、捕食したものを殺傷する、食物を探す、求愛行為、雛に餌を与える、など様々な用途に使われます。鳥の嘴は人間の手のように器用にできています。

鳥は首を振って歩く、鳥の首振りは前後に振ります。実は、この首振りは頭を固定するためのものです。鳥は、被害者意識が強いので目を横向きに付けて、視界を広げて捕食者から素早く逃れなくてはなりません。目が横向きだと頭を固定して見る必要があるからです。

野鳥は渡りをします。渡りはコストがかかる大イベントです。
飛ぶことができる鳥だからこそ渡りができるのですが、反面これが命がけなのです。冬眠ややせ我慢で食物の少ない時期を過ごさなくていいのですが、渡りも命がけです。これが自然の中で生きる厳しさなのでしょう。

鳥の歩き方は、両足を揃えて移動するホッピングと左右の足を交互に出すウォーキングがあります。ホッピングは鳥だけで、樹上利用が発達して獲得したのではないかと言われています。

鳥は、危険な地上に別れを告げ、空を飛び樹上で暮らし、水面で暮らす生活を選びました。鳥は空を飛ぶ自由を得たのではなく、実は空へ追い立てられてしまったのです
でも、哺乳類や爬虫類は夜行性が多いのに、鳥の殆どは昼行性です。空へ追い立てられた引き換えに、昼行性を得たのです。

哺乳類の頂点に立つ人間から見ると、鳥は恐ろしく縁遠い動物に見えます。
中生代に君臨し、何と1億5千万年もの長き間に生息し繁栄した恐竜が進化発展したのが鳥である。
…だとすれば鳥の形態も生態も、穿うがったものに見えてきます。

「私は偏見にまみれた鳥類学者だ」と川上和人は言ってますが、そんなことはありません。実におもしろく愉快な学者さんです。
もし学生時代、こんな先生に出会ってしまったら大変でした。きっとその研究室に入って、鳥類学者を志してしまったかもしれません。

鳥って面白い動物です。形態も生態もヒトから見ると不思議なことばかり。何しろ恐竜の末裔ですから。

 

 

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