旧暦と二本立て

今使っているカレンダーのこよみは太陽暦ですが、今や グローバル化され、世界標準となっています。この元の暦はユリウス暦です。
古代ローマのユリウス・カエサルGaius Iulius Caesarが制定した暦として紀元前45年から実施されてきたものです。

このユリウス暦は、その後キリスト教の宗教暦として採用され、グレゴリウス13世Gregorius XIII(1582年)が改暦し、グレゴリオ暦としました。
これが現在使っている暦であります。

太陽暦は天体の運行によって作られていると思っていたら、それは誤解です。
そもそも、新暦の1月1日(元旦)は天文学上の理由があって「1月1日をこの日とする」と決められたものではありません。
更に月(Month)も、長い時代を経て現在のような形に決められてきたもので、天文学上の理由はありません。
例えば、ユリウス・カエサルに因んで7月をJulius(Iulius)としたり、後のアウグストゥスに因んで8月をAugustusとしました。

そこ行くと、旧暦すなわち太陰太陽暦(luni-solar calendar)は、天体の運行を基準にして作られているので、根拠があります。
月(Moon)の満ち欠けの繰り返しによって月(Month)を決めます。太陽が移動する天球上の道=黄道(Ecliptic)が基準になりますから、暦は季節と一致しています。
即ち、二十四節気は、黄道15度毎に24分点と分割したものです。
従って、太陰太陽暦とは、二十四節気と太陰暦の合作なのです。

現在の太陽暦より、旧暦のほうが天文学的な意味に従っており、暦としては合理性があるのです。

ところが、天体の運行(周期)は人間の都合(暦)通り動きません。
地球の公転周期は 365.256 363 004 日で、ピッタリ365日ではありません。従って閏年に1日追加調整しなくてはなりません。
また自転周期も 23時間56分4.0905秒でピッタリ24時間ではありません。従って、毎年元旦か7月1日に閏秒の調整が必要です。
旧暦で使う、月の満ち欠けは29.530589日なので30日で割り切れず、閏月を設け大幅な調整がなくてはならないのです。

暦は天体の動きから来たことを思えば、月の満ち欠けが説明されなくては暦とは言えないと、勝手に考えています。
当たり前のことですが、潮の満ち引きは月(Moon)によって起こります。女性の生理の周期も月齢に近く、人の生死も潮の満ち引きに同期するようで不思議に、月の運行と生活は結びついてます。

上弦の月
下弦の月

旧暦の朔日ついたちは必ず新月new moonで、そのあと上弦の月となって、15日(15夜)の後満(望)月full moonとなります。
そして下弦の月となり、また朔日の新月へと戻り繰り返します。

太陽暦で暮らす現代人はこの周期をいつの間にか忘れてしまいました。
確かに都会では、月をめでる余裕もありません。

現代人が、弓張り月をみても、何の関心も寄せなくなってしまった理由の一つは、太陽暦のせいです。

暦は季節感がなければ意味が無いと思うのです。新暦では1月1日は立冬でも、春分でもありません。昔こう決めたから決まってるだけです。だから現在のカレンダーは、1月1日から正確に日数計算されてるだけで、季節感も月齢も感じない生活感のない暦なのです。

二十四節気は太陽暦で、天体運行に正確ですから、季節感があります。

旧暦は中国で生まれ、604年に隋から伝わりました。日本でも改暦を重ね、長く親しまれてきました。

季節も月齢も、ピッタリ合った太陰太陽暦で暮らす方が自然で、何と言っても日本的な情緒があります。

1月 January 睦月(むつき)
2月 Febrary 如月 (きさらぎ)
3月 March 弥生(やよい)
4月 April 卯月(うづき)
5月 May 皐月(さつき)
6月 June 水無月(みなづき)
7月 July 文月 (ふみづき、ふづき)
8月 August 葉月(はづき)
9月 September 長月(ながつき)
10月 October 神無月(かんなづき)
11月 Novenber 霜月(しもつき)
12月 Decenber 師走(しわす、しはす)

新暦では、1月から12月まで数字になっていますが、欧米は月(Month)に名前があり数字ではありません。

日本も旧暦には、月に名前がちゃんと付いてます。
月に名前があるのは、欧米だけじゃありません。

どうです?素晴らしい日本の文化ではないですか?

そして又、月(Month)だけでなく、月(Moon)にも名前をつけるなんて、日本の旧暦は実に洒落ているではありませんか! 

月の姿 呼び名
旧暦日付
名前の由来など
1日頃 新月
(しんげつ)
朔のこと。月が見えない時期のため、昔は三日月から逆に遡って、朔の日付を求めた。新月の呼び名は英語「New Moon」から来てます。
2日頃 繊月
(せんげつ)
二日月(ふつかづき)とも言う。日没後1時間前後のまだ明るい空に、繊維の様に細い月が繊月です。
3日頃 三日月
(みかづき)
新月後最初に出る月であったので「朏(みかづき・ひ)」と表されることもある。異称が多く初月(ういづき)・若月(わかづき)・眉月(まゆづき)など
7日頃 上弦の月
(じょうげんのつき)
夕方西の空に現れ、西側が明るく輝く。夕方の空にかかる姿を弓の形になぞらえると、弦を張った側(欠けぎわの側)が上に見えるからこの名前
10日頃 十日夜の月
(とおかんやのつき)
上弦の月より幾分ぷっくりとふっくらとした月。旧暦の十月の十日には「十日夜」と呼ばれる行事がある。観月の慣習もあった。
14日頃 小望月
(こもちづき)
満月(望月)の前夜。幾望(きぼう)ともいう。幾は「近い」の意味。
15日頃 満月
(まんげつ)
異称は望月(もちづき)十五夜(じゅうごや)などがある。満月も英語の「Full Moon」からきている。
満月を「観望会」などで望遠鏡で見るのは最低。お月見は肉眼でしょう。
16日頃 十六夜
(いざよい)
既望(きぼう)不知夜月(いざよいづき)ともいう。既望は望月を過ぎた月、不知夜月は一晩中月が出ているので「夜を知らない」の意。「いざよい」はためらう意味。
17日頃 立待月
(たちまちづき)
夕方、月の出を「いまかいまかと立って待つうちに月が出る」くらいの月。月の出は日没から1時間40分後なので、あんまり早くから待つと疲れるぞ。
18日頃 居待月
(いまちづき)
居は「座る」の意味で、立って待つには長すぎるので「座って月の出を待つ月」。座ってても疲れるかも。
20日頃 更待月
(ふけまちづき)
夜更けに昇るのでこの名前。だいたい午後10時頃に月の出となる。
23日頃 下弦の月
(かげんのつき)
弓に見立てての名前。だが暗いうち(東の空から昇るとき)に見える月の弦は下にはならないので誤解を招く。古くは二十三夜講などの風習があった。
26日頃 有明月
(ありあけづき)
夜明けの空(有明の空)に昇る。本来は十六夜以降の月の総称。この時期に限定すれば「暁月」の方が正確。古くは二十六夜講などの風習があった。
30日頃 三十日月
(みそかづき)
新月頃。30日で月末を晦日(みそか)という。晦日(つごもり)ともいう。
「つごもり」は「つきこもり」が転じたもの。月が姿を見せないの意。

 

日本での旧暦廃止と新暦への改暦のやり方は、ビックリです。
突如、太政官布告によって、明治5年(1872年)12月2日の翌日を明治6年1月1日とするとされ、太陽暦に改暦されたのです。
その混乱は大変だったと想像できますが、当時政府はこの改暦で借金を1ヶ月減免したし、官吏への給与支払も1ヶ月免れました。

旧暦は古臭く、公式には使われなくなってしまいました。ところがドッコイ、現在も官報に暦要項として告示されていますし、
旧暦カレンダーは今でも生きています。

若い頃、旧暦なんて関係ないと思っていたのですが、年を取ったのでしょうか、二十四節気や月齢が気になる様になりました。

  • 還暦(満60才)を迎えたら、旧暦が気になりだして
  • 古希(満69才)になったら、旧暦を気にしながら暮らし
  • 喜寿(満76才)になったら、旧暦で暮らしても支障なくなり
  • 傘寿(満79才)になったら、旧暦のみで暮せるようになり
  • 米寿(満87才)になったら、旧暦でしか暮らさなくなり
  • 卒寿(満89才)になったら、旧暦しか関係なくなり
  • 白寿(満99才)になれる人は、暦なんてどうでもいい

旧暦と二本立ての暮らしは、年とともに旧暦に比重がかかる
そんな豊かな生活でありたいと思うのです。

 

参考にしたサイト
 ← こよみのページ

 ← 国立天文台 暦計算室