オペレッタ “こうもり” Die Fledermas(独)

この記事は3年以上前に投稿された古いものです。

オペラにはセリフが無いけど、オペレッタOperette にはセリフが付いていて、ほとんどは喜劇なので、喜歌劇と訳されてますね。
オペレッタこそ、ミュージカルの起源です。

Johann Strauß Ⅱの“こうもり”はオペレッタの王様と言われるほど有名なんです。このオペレッタは大晦日の夜会が舞台になっているので、毎年、大晦日恒例の出し物とされます。
特に序曲はだれも一度は聞いたことがあると思います。

楽器編成はフル・オーケストラではなく、フルート,オーボエ,クラリネット,ファゴット,ホルン,トランペット,トロンボーン,ティンパニ,打楽器,ベースといったところで、バイオリン、ビオラ、チェロなど弦楽器が無いのが普通かな。

こうもりという名前の由来が「こうもり博士の笑いの復讐」であることや、このオペレッタのあらすじがドッキリカメラのようなストーリー展開になっていることは、こちらを見ていただくことにして、

Bismarck
Bismarck
こうもりが初演された当時(1874年)は、プロイセンの鉄血宰相ビスマルクBismarckがドイツ統一に成功した時期で、これに対して批判的な気持(時代背景)が漂っていたオーストリアだったと理解すると、こうもりは、社会風刺的な一面を持ったオペレッタだったことが分かりますね。
主人公アイゼンシュタイン(Eisenstein)=鉄石さんは、鉄血宰相を揶揄しているのかも?


では、第一幕の「1週間もたった一人で」”so muss allein ich bleiben acht tage ohne dich !”をご紹介します

夫Eisensteinが、8日間刑務所に収監されるのを悲しむように唄う妻Rosalindeは、内心、浮気相手Alfredに逢える期待を持ってるので、表面的には悲しそうにして、内心ウキウキした様子の歌声でが、「1週間もたった一人で」”so muss allein ich bleiben acht tage ohne dich !”
夫(Eisenstein)は刑務所に入る前に、夜会でハメを外そうと内心思っているし、小間使いのAdeleもヒマをもらって内心(夜会に出る)たくらみがあって、3人共ウキウキしています。


そして第2幕では華やかに歌い踊る。Orlofskys 公爵のドンチャン騒ぎの夜会が舞台です。
http://youtu.be/KY2Mw0LMz-E?t=1h36m7s

ところが午前6時の鐘が鳴ると、Eisensteinは慌てて「出頭する時間だ」と、Frankも刑務所に帰らなきゃと、EisensteinとFrankの二人がそろって、夜会を飛び出し刑務所へ行くところです。


第3幕は刑務所の事務所。ガラリと場所(雰囲気)が変わります。

Eisensteinが、Dr.Blindから借用した服で弁護士に変装している。刑務所を訪れたRosalindeが、昨日の経緯を弁護士に話すが、それを聞いて怒ったEisensteinは正体を現し妻をなじる。
ところが妻はあの時計を取り出し逆に夫をぎゃふんと言わせる。
ここからがネタばらしです。Dr.Falke とOrlofskys公爵が現われ、
「昨日舞踏会に誘ったのは、すべて私が仕組んだこと。3年前の“こうもりの復讐”です」と
最後は、全員で「シャンパンが悪酔いさせたのね」のフィナーレを歌ってお別れとなります。

当時のオーストリアでは、大晦日の恒例となっている夜会を舞台にして、Rosalindeの歌う。「シャンパンが悪酔いさせたのね」の合唱で、Eisenstein (鉄血宰相ビスマルク?)も「まぁいいか!」と、お茶を濁してオペレッタは終わります。