アラビカ種の生い立ち

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コヒーのゲノム解読が終了したらしい。解読結果が国際研究チームにより発表され(2014年9/4)、Science誌に掲載されました。
解析されたのは2倍体のロブスタ種 Coffea canephoraです。
そしてサントリーの研究助成で、米大学(University of California , Davis校)で2017年1/16、アラビカ種 Coffea arabica のゲノム解読も完了したそうです。

さて、コーヒーのゲノム解読完了で、何がわかったのでしょう?
コーヒー好きならコーヒーはアラビカとロブスターがあることはご存知でしょう。一般に飲まれているのはアラビカですが、この生い立ちがゲノム解読で初めて分かったことがあるのです。

これまで余り知られていなかったユーゲニオイデス種 Coffea  eugenioides がアラビカ種の近縁にあたると分かったのです。
コーヒー通の方でも聞いたことが無い種なんです。

アラビカの染色体は44本で、ロブスター22本の二倍体なのです。ユーゲニオイデスも22本です。
アラビカは、ロブスターを父方に、ユーゲニオイデスを母方とする異種交配によってできたことが判ってきたというのです。

ゲノム解読がなかったら、こんなことは分からなかったのです。
コーヒーはもともとアフリカ原産ですが大きくこんな分布をしているそうです。

そのうちアラビカの原産地は、エチオピア西南部の一部です

生息地が異なるユーゲニオイデスとアラビカ種はどうやって巡り合ったのか?

実は現在、両者が共生している地域が世界に1か所だけあります。それはビクトリア湖北西に位置するアルバート湖の周辺です。(中略)今から数十万年前アルバート湖周辺で生まれたアラビカ種は、その後山沿いにエチオピア西南部まで広がり、(中略)今から1万年前に最終氷河期が終わると、そこから「氷河期時代の生き残り」が再び繁殖をはじめ、それが現在自生するアラビカ種につながったとかんがえられています。

(コーヒーの科学 (ブルーバックス) より)

こうしてコーヒーの歴史上、作物となったアラビカ種は、Arabica Coffee Family Tree のように品種が枝分かれしてゆきました。

そのうちこの Arabica Coffee Family Tree も、ゲノム解析によって変更があるかも知れません。またゲノム編集で新たな品種が生まれるかも知れません。

コーヒーの世界もゲノム解析、ゲノム編集の時代に入りました。

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